下校時刻。

心は日直のため、真澄に先に帰っていいよと声をかけて
日誌を書いたり、明日の準備等を行っていた。

そこにふらっと現れたのは万里だった。

「……お、いたいた……。おつー。」

「ん?…あ、万里さん!お疲れ様です!どうしました?」

「いんやー……。3年になると進路相談あってよ……とりあえずちょろっと話して今終わったとこ。」

「そうなんですね、お疲れ様!」

きょろきょろと教室の中を見回した万里は
誰もいない事を確認して
心の前の席から椅子を拝借した。

「よっと……。帰り送るわ。」

「送るって……帰るとこ一緒じゃないですか。」

「んまぁ……そうなんだけどよ。」

「最近、万里さん優しいですね。」

「はぁ!?俺はいつも優しいだろ!」

「どうだか……第一印象よかったのに、寮でのあのちょろい発言で私は随分、心痛めましたけどね。」

「………すまなかった。」

「ゆる三蔵法師。」

「そこは許せよ。」

「…ははっ、もう気にしてないですよ。ゲーム一緒にしてくれるの楽しいし。最近は優しいし。」

「あっそ。」

「……?万里さん、用事あったんじゃないですか?わざわざ2年生の階まで来て……。」

「んー?……心探してたから、もう終わった。」

「そ、そうですか……。なんで私がいるってわかったんですか?」

「日直だろ?昼に黒板見た時、茅ヶ崎って書いてあったから。」

「あ、それで……。」

「…………お前、いつも一生懸命だな。」

「そうですかね?人並みですよ。」

「嘘つけ……、寮でもやること多いのにさっさと済ませて……。」

「効率よくやっといて、後々を楽にしたいだけです。……私は、万里さんみたいに器用じゃないですから。」

「俺だって無理なこともあんよ。」

「えぇ!?スーパーウルトライージーモードなのに!?」

「……そうだな。」

「?????。」

「うっし、日誌書き終わっただろ、提出してから帰んぞ。」

「は、はい……。あ、咲也さんは?」

「先帰った。」

「そ、そうですか……。」

帰り道、万里が無言で差し出した手に
すこし戸惑いながら手を伸ばすと
勢いよくも優しく掴まれた心は、柔らかく笑った。

顔が赤いのは
夕日のせいにして。

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