「本日!無事に!チケット完売しましたあああー!」

支配人は嬉しそうに、秋組に報告をした。

「おめでとうございます!」

「よかった。これで一安心だな。」

「あとは本番成功させるだけだ。」

臣や万里がほっと安心しているところに
前回のリーダー会議のレポートをまとめた心がやってきた。

「お疲れ様です。…いづみさんこれ、この間のまとめです。」

「ありがとうっ!」

「ん?なんだか皆さん嬉しそうですね。何かありました?」

「チケット完売だってよ!心!」

「え!?そうなんですか!おめでとうございます!」

「ああ、気合入れねえと。」

十座は今まで以上に、芝居に燃えているように見えた。

「今回のチケットのはけの早さは、客の期待値の高さだ。春夏組よりハードル上がってると思っていけよ。」

「っす。」

「まーなんとかなるっしょ。つか、なんとかするし。」

「またドロップアウト未遂が何か言ってるよ……。まずは明日のゲネプロですね!頑張りましょう!」

明日のゲネプロを前に、衣装、小道具、演出すべて本番通りの通し稽古をするために
みんな劇場にある楽屋に集合していた。

「それじゃあメイクだな。頼んだぞ茅ヶ崎。」

「任せてください!…じゃあ先に太一くんからしちゃいます!その後に臣さん、左京さん、十座さん、万里さんの順番なので、それまで順番待ちの人は、幸ちゃんの衣装微調節に付き合ってください。」

「わかった。」

「りょーかい。」

太一が椅子に座り「お願いするっす。」という顔を見て
心は「ん?」と疑問を持った。

「どうしたっすか?」

「んー…いや……。この間買ったフェイスカラーのブルーの濃さいらない顔色だなーって……。」

「え?」

「どこか調子悪い……?」

「そ、そんなことないっすよ!ほらぁ!元気ッス!」

「そ、そう……。とりあえずブルーはワントーン落とすね?違う種類のだから、肌荒れ起こしたらすぐに教えてね?」

「りょーかいッス!」

不思議そうな顔をしたまま、心は太一のメイクを仕上げた。
その後、臣、左京、十座とメイクを進めた。

「十座さん、もうちょい真っ直ぐ向いてください。」

「すまない……。」

「恥ずかしいですか?」

「…っ。」

「あはは……。すみません…私がメイク担当で……。」

「そ、そうじゃない!その……。」

「ん?」

「これが舞台に立つって事なんだなと……。う、嬉しいんだ。」

「十座さん……。っ!はいっ!私も全力で十座さんがいいお芝居できるようにメイクしますね!」

「!…頼んだ。」

「はいっ!……黒が多い衣装なので、少し明るめにしますね!透明感はやや抑えめでいくのでワイルド感は残ります!」

「任せる。」

十座のメイクも無事終わり、万里の番になった。

「はーい、いらっしゃいルチアーノっ!」

「よろー。」

そう言いながら万里は椅子に座った。

「腰にポーチまで着けて、ガチのメイクさんみてぇだな!」

「MANKAIカンパニー専属メイクアップアーティストですからー?ほい、これ前にかけて。衣装汚したら、幸ちゃんにコロサレル。」

「ははっ。そうだな!」

「じゃあ、肌の整えからいきまーす。」

「うぃー。」

徐々に、下地からコンシーラと重ねていく心に
万里は話しかけた。

「すげーなお前……。」

「何がー?」

「いや…化粧って重いもんだとおもってたからよ……。別に違和感ねぇんだな。」

「違和感覚えないようにやってあげてるの!…ほれ、目瞑って。」

「ん。」

「ライン少し太めねー?主演だから目力重要。」

「開けていいか?」

「いいよー。」

「――おお…。」

「どう?イケメンが鏡の中にいました?」

「っざげんな。いつもイケメンだろうが!」

「あはは、はいはい!」

「すげぇな……。一気に今『ルチアーノ』になった気がする…。」

「……よかった。また舞台に立ってから全体見て調節入れますね。」

「ん。」

「じゃあ、行ってらっしゃい!ルチアーノ!」

「おう!」

心とハイタッチした万里は
颯爽と楽屋から舞台へ向かった。

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