「急いで試着して確認して。」

「…大丈夫だ。」

「問題なし!さすが俺!と幸と心!」

十座も
「今回だけは認める。」と呟いた。

「直したところも、よく見ねぇとわからねぇな。」

そう話す左京の微調節に入る心は
「みんなお疲れ様です!」と話した。

「近くで見ると気づくけどね。観客にはばれない。」

「ぞれで十分だよ!幸くん、お疲れ様!」

その光景を見ていた太一の顔色だけ
優れないようだった。
いづみは太一に「衣装は大丈夫だった?」と声をかけた。

「――あ、ああ、大丈夫ッス。」

「おい、七尾、お前……。」

「太一、調子悪いのか?本番まであと数時間あるし、少しでも仮眠とった方がいいぞ。」

そう言って、無言の太一を、臣は部屋に連れて行った。
左京だけ、何か気づいているようだった。

「みんなも少し休んで。」

「メイクの時間になったら起こしに行くからね!」

「リハとかいいのか?」

「今は体調を万全にすること最優先で考えて。」

いづみの指示に、万里も「わかった。」と返事をした。

「ほれ、心も一緒に仮眠とるぞ!メイクも寝てねぇとぶっ倒れるぞ!」

「…じゃ、じゃあ……。少しおやすみいただきます……。」

「うん、心ちゃんも仮眠してきて。」

「はい……。」

心も太一の様子の変化に気づいているようで
少し浮かない顔をしながら、万里、十座と一緒に
104号室で簡単な睡眠をとった。

少しの仮眠ののち、5人のメイクをきっちり終えた心は
会場にいる、いづみの元に駆け寄った。

「お疲れ様です…いづみさん。」

「お疲れ様!……眠くない?大丈夫?」

「はい!……ゲネプロなしって今までにもあったんですか?」

「……前代未聞…。しかも初日なのにみんな寝不足で体調最悪だし……。」

「無事に終わるように祈りましょう…。」

「うん……。」

『話ってなんですか、ボス。』

『ルチアーノ、ランスキー、お前たち2人でコンビ組め。』

『はぁ!?』

『嫌です。』

「……いづみさん、なんか皆、妙にテンション高くないですか?」

「だ、だよね……。寝不足が良い感じに影響してるのかな?」

「だといいですね…!」

観客の掴みは好調で、無事に初日を終了した。

「みんな、お疲れ様!」

「すごくよかったですよ!」

いづみと心が楽屋に入ると、万里、十座、臣、太一は
スヤスヤと眠っていた。

「終わるなりこの有様だ。」

左京は腕を組んでため息をついた。

「さすがにスタミナ切れちゃったんですね。」

「…お疲れ様です。みんなすごくかっこよかったですよ。」

そう言うと、左京は
「まだ初日が終わっただけだ。これからだぞ。」と
2人に気合を入れなおした。

「そうですね。でも、大きな一歩です!」

「…まぁな。体力バカが揃っててよかった。」

「はは、そうですね。」

「……あれ?」

ドアの前に何か落ちていることに気づいた心は
近づき、拾い上げた。

「左京さん、いづみさん……。この手紙……。」

「ファンレターではなさそうだな。」

『今度は衣装だけでは済まないゾ』と書かれた
いままでと同じ作りの脅迫状だった。

「また、脅迫状……。」

「…チッ、しつこい……。」

「左京さん、警察に相談したり、セキュリティを強化した方がいいんでしょうか?」

いづみが心配そうに相談すると
「その意味はおそらくない。」と左京はきっぱり断言した。

「え?」

「どういうことですか?」

「……。」

黙り込んだ左京は、少し伏せ目にして
何かを察しているような表情をした。


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