「……はいっ!できました!……アラジンめっちゃイケメンですよ!」
「まじ!?テンアゲー!ここぴおつぴこ♪」
「ありピコです♪」
メイク中に、団員と打ち解けられたようで
心もニコニコしながら全員分のメイクを終わらせた。
あれだけガチガチで緊張しきっていた夏組も
春組メンバーの楽屋訪問と心のメイクに背中を押されたのか
少し表情にゆとりが出始めていた。
「ふぅ……5人いっきには初めてだったから少し緊張したぁ……。」
「おつー。心ありがとう。」
「お兄に久しぶりに会えたし、いいよ!楽しかった!」
「心ちゃん、本当にありがとう!…よかったら千秋楽見て行って?」
いづみがそういうと、心は隣にいる至の顔を見上げた。
「いいんじゃない?見ていきなよ。」
「じゃあ……お言葉に甘えて……。」
千秋楽の舞台は満席。
天馬の両親も見に来ているとの事だった。
幕が上がり
ベストポジションで夏組の公演を見始めた心達。
初めて見る心は、自分のメイクした団員が、舞台上で楽しそうに役に
なりきっているのを見て目を輝かせた。
『アラジンってお前なのか!?』
『アラジンなら、オレの事だけど……。』
『こんな冴えないのがアラジンかよ。本当に魔法のランプなんて持ってんのか……?』
『冴えないとかひどい!』
『ナンパしても、振られてばっかじゃねえか。』
『これは、アラジン秘伝の恋愛テクその1128にのっとった戦法でーー。』
『テク多すぎだろ!』
天馬のアリババと一成のアラジンの掛け合いは
どうやらアドリブのようで
周りの観客は楽しそうに笑い、中には目に涙を浮かべながら
お腹を抱える人もいた。
「すごい……、お兄、これ全部アドリブなの?」
「みたいだね。確かに、今までとは違うセリフ多いし…天馬が積極的に入れてるみたいだね。」
「アドリブ……。まさに役を通り越してその人物になっているんだね……。」
最後まで見終わると
観客はスタンディングオベーション。
心も笑って泣いて忙しく表情が変わる自分に驚いたようだった。
「さて…じゃあ私帰るね?みんなにお疲れ様って伝えといて。」
そう言って、メイク道具を持った心を至は引き止めた。
「打ち上げあるしおいで。帰りは俺送るから。」
「で、でも…私部外者だし……。」
そこに来たのは着替えの終わった夏組5人だった。
「部外者じゃねえだろ。お前のおかげで最高の千秋楽を迎えられたんだ。」
「……皇さん。」
「そうそう。あのままメイク担当不在で舞台立ってたらって思うとゾクっとしちゃうし…。」
「目じりに、ちいさなさんかく貼ってくれてありがとー!」
「こんなチビでマヌケで大根で味噌っかすなボクが…心さんのメイクのおかげで、いつものボクじゃないように感じました!ありがとうございました!」
「だから、今日の成功はここぴもいたからだよん☆」
「皆さん………。」
そわそわとし始めた心を見て、至は
「妹の代わりに言うわ。……よろしくね!」と話した。
「インチキエリートの声じゃなくて、妹の声で聞きたかったんだけど。」
「まあまあ!」
「そういえば監督さんは?」
「あ、なんか先に打ち上げ初めてろってさ……。」
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