その日の夜。
迫田は急いでピストルを寮に運んだ。

「監督の姐さん!」

「迫田さん、どうでした!?」

「チャカ5丁、無事に買って来やした!」

「よかった……これで明日のマチネには間に合う……。」

「……これで明日からはなんとかなるな。」

万里は胸をなでおろした。

臣は迫田にお礼を伝えた。

「みんな今日は御疲れ様。トラブルがあったけど、無事に切り抜けてくれて本当によかった。…心ちゃんも、さっきはありがとう。」

「私は別になにも……。十座さんや万里さんたちが上手くやってくれたんですよ。」

「だろ?心。まさか手でピストルやるとは思ってなかったけどな。コントかよって!」

「うるせぇ。思いつかなかったんだからしょうがねぇだろ。」

「必死だったせいか、ピストルに見えてきたけどな。」

「確かにな。」

「本当に!お客さんも感心してましたよ!」

みんなで今日の公演についてワイワイ振り替えるも
太一は、ただただ無言だった。

「あれ?アニキは?」

「?そういえば、まだ戻ってきてないのかな?」

十座は「楽屋では一緒だった。」といづみに伝えた。
そう聞いたいづみはまだ劇場にいると考え、呼んでくると言って
談話室を後にした。

「それならおれが――。」

迫田が変わりに行こうとすると、察した心が
「お茶淹れますから、休みませんか?」と引き止めた。

「…?どうしたんですか?茅ヶ崎の姐さん?」

「まぁまぁ……少しそっとしときましょ?左京さんもこんな時には甘えたいでしょうし……。」

「????」

「……お前、自分の事は鈍感なくせに他人の事はすーぐ気づくな。」

万里は心の頭をコツンとつついた。

「あてっ…!え!?誰が鈍感よ!大体最初は万里さんがあんなこと言うから喧嘩になったんでしょ!?しかも私、鈍感じゃなくない!?」

「はぁ!?鈍感だろこの天然!ちょろいとか言われたくらいでしょげてんじゃねぇよ!そこは少しでもドキッとして脈感じとけよ!」

「はぁあ!?あんなんに!?ちょっかいのかけ方細胞レベルで学び直してこいや!」

「んだとぉ!?俺の精一杯馬鹿にしてんのかぁ!?」

「あれが精一杯とかっ!ぷぷぷっ!」

「心っ!てめぇ!!!!」

「まぁまぁ、万里も心も落ち着けって……。」

臣が仲裁に入ると2人はため息をついた。

「はぁ…。」

「ふんすっ……。」

一番の鈍感の十座は「なんのことだ?」と
本当にわかっていないようだった。

「……まぁ、それに……。今日のタイミングの件……。左京さんも気にしてるだろうし……。ここはいづみ監督の出番じゃない?」

心の言葉に、全員「そういえば……。」と思い出したようだった。

「……うっし、今日の反省会は明日の朝にしようぜ。左京さんも監督ちゃんも不在だし、なんせこの時間だからなぁ…。」

万里は時計を見ながら、十座、臣、太一に話した。

「それもそうだな。万里、先に風呂入るか?」

「んー…、臣でも太一でも?俺は後で入るわ……心、お前の部屋行くぞ。」

「へ?!」

「リーダーレポートっ!!!!!!」

「…あ、はい!」

「摂津!」

「んあ?」

「……風呂空いたら……教える。」

「どーせ風呂場の隣だし、部屋の扉叩け。」

「…わかった。」

んじゃ、と言いながら
万里は心を連れて
談話室を後にした。

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