左京と心が談話室に向かうと
万里たちはすでに、反省会の準備をしていた。

「おっせぇぞ!つーか、いくら左京さんでも、俺の彼女と一緒にいんの許せねぇんっすけど。」

「たまたまだ。部屋が近いだけだ。」

「万里さんも落ち着いて……。反省会はじめましょ?」

「おう、んじゃ今日の公演の反省ミーティングはじめっぞ――。」

多くこなす演目でも、毎日気になる点は多く出るようで
盛り上がったミーティングは少し長めになった。

「今日のミーティングはこんなもんか。あとは、明日の千秋楽突っ走るだけだな。」

「後悔しないようにしろよ。」

「っす。」

そこに臣が「1ついいか?」と話を出してきた。

「なんすか?」

「……太一。」

臣が太一の背中にポンと優しく手を当てると
今にも消えそうな声で「うん。」と返事した。

「太一くん?どうしたの?」

いづみがそう聞くと、深呼吸をした後、少し長めの間を開けて
太一は話し始めた。

「今までの嫌がらせ、全部俺がやったんだ。ごめん。」

「え!?」

「……マジかよ。」

「――。」

それぞれの反応の中、左京と心は
「やはりそうか。」といった表情で
黙った。

「何であんなことしたんだ。衣装、どんだけ苦労して作ったかわかってんだろ。」

「――本当に悪かったと思ってる。」

十座の問いかけに、声を震わせながら太一は答えた。
その表情を見たいづみは「何か事情があったの?」と
太一に問いかけた。

「……俺、元々、GOD座に所属してたんだ。それで、スパイとしてMANKAIカンパニーに潜り込めって言われて……。この劇団の舞台をめちゃくちゃにしたら、GOD座のメインキャストにしてくれるって言われたから、俺――。本当にごめんなさい……っ。」

泣きじゃくる太一の隣に座った心は
「もういいよ……。」と声をかけながら太一の背中を擦った。

「つまり、GOD座の主宰に命令されたってことだな?」

左京の質問に、涙声の太一は一生懸命「はい。」と答えた。

「でも、どうしてうちの舞台をつぶせなんて……。」

「そりゃ、本人に確かめるしかねぇだろ。」

「許せねぇ……。」

「……っ、ごめんなさい。ごめんなさい。」

「もういいよ太一くん……。辛かったね……。」

何度も謝る太一を優しく包み込んだ心は
よしよし…と言いながら頭を撫でた。

「俺も太一の異変に気付いていて、何もできなかった。悪い。」

「臣さん……。そんなこと言ったら、私だってそうです……。何もしてあげられなかった……。」

「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい……。」

何度も謝る太一を見て、しばらくの間を開けた後、万里が口を開いた。

「……なぁ、『ポートレイト』やろうぜ。」

「え?」

「監督ちゃんと心意外で、秋組全員の『ポートレイト』を見てんの、俺だけじゃん?だから思うんだけどさ。あれ絶対お互い見せ合っといた方がいい。特に今は。」あれを見て、俺は兵頭に負けたくないって思ったし、左京さんがこうるせーことクドクド説教してくる理由がわかった。あと大して年変わんねーはずの臣が、なんか妙に達観してんのもわかった気がする。でも、太一のだけが違った。」

「――。」

「雄三のおっさんの言う通り、お前の『ポートレイト』だけは、不思議とお前が見えてこなかった。…それに、俺の披露がまだだったしな。太一、あの時見せたのとは違う、お前のマジの『ポートレイト』やってみ。お前がやった後で、俺もやるからさ。……俺も初めて『人生最大の後悔』ってやつ、見つけたからさ……。」

「でも、俺……。」

「そんで、みんな納得させてみろよ。説明するより、その方が分かりやすい。」

「――うん、わかった。やってみる。」

顔をあげた太一は、心に満面の笑みで
「ありがとうッス!」と伝え、ポートレイトをみんなの前で披露した。

――――
――――
――――

ずっと、ずっと、みんなに好かれたかった。愛されたかった。

小学校の時からクラスでも影の薄い存在だった。
風邪で休んでも気づかれないくらい。

勉強もスポーツもだめで、面白いことができるわけでもない俺には、
これっぽちも目立てる要素がなかった。





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