就寝時間。
104号室の2人は、まだ目が開いているようだった。

「……おい、起きてんだろ?」

「……なんだ。」

先に声をかけた万里に、十座は返事をした。

「明日で千秋楽とか……眠れねぇ。」

「……寝ろよ。」

「お前だって寝てねぇじゃねぇか。」

「てめぇに起こされた。」

「ウソつけ。いびきがうるせーから寝てるかどうかすぐわかんだよ。」

「てめぇの寝言の方がうるせぇ。」

「寝言なんて言ってねぇ。」

「昨日はアイドルの名前ひたすら連呼してた。」

「うそつけ!俺には心しかいねぇよ!」

「うるせぇ。他の奴らも起きるだろ。」

「……。」

「………おい。」

「……なんだよ。寝んだろ。」

「……さっきのお前の『ポートレイト』、良かった。」

「……当たり前だ。でもまだ、全然勝った気しねぇけどな。てめぇのせいで、初めて見つけちまった。こんなに歯ごたえのあるモンを。……結局てめぇなんだな、俺をアツくさせんのも、後悔を教えるのも。ぜってー負かしてやるから、首洗って待っとけよ。」

「ぐうぐう……。」

「寝てんのかよ!?」

その頃、心は……。

「千秋楽……。千秋楽だ……。最高にいい舞台に……なりますように……。」

メイクブラシの手入れをしながら
心は1本1本に願いを込めた。



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