『全校集会の終わりに服装検査をする!順番に行うから、男女別出席番号を呼ばれたら学年問わずその場に起立するように。』

体育館に響くのは、マイクを通して話す教員の声だった。
生徒も少しざわつきながら
1番から順番に男女別出席番号を読み上げられた。

『次ー!』

心も呼ばれて起立すると
2列左隣に万里がいるのがみえた。

「え?万里さん『さしすせそ』だよね!?」

「お前こそ『たちつてと』じゃねぇかよ。」

「うちはそんなに『さ行』がいないんですよ。」

「ふーん。」

「摂津!静かにしろ!」

「…っ。」

注意された万里を見て、クスクスと笑っていると
こちらも2年担当の教員が来て
「茅ヶ崎さん、静かにね?」と注意を受けた。

「…はい、OK。この状態を保ってくれればいいのに…ねぇ?茅ヶ崎さん?」

「えへへ?」

「えへへ?じゃないです!…まったく……。」

万里も教員に
「いつもこの状態で通学しろ…。あと、ちゃんと朝からこい!」と
叱られていた。

「へーへー。……でも俺、最近ちゃんときてるっしょ?」

「前よりは、だ!……ったく…2年の茅ヶ崎効果か?」

「おい、なんで心なんだよ。」

「違うのか?」

「だったらなんだよ!……もういいだろ…座っぞ!?」

「ああ、いいぞ。…次ー……。」

全校集会も終わり、教室に戻ると
万里はダルそうに、ネクタイを緩めた。

「あー!…っだりぃ……。」

「摂津が制服ちゃんと着てるの見ると笑えるわ。」

そう言ってきたのは隣の席の男子だった。

「あぁ!?うっせぇ!好きでやってんじゃねぇよ。」

「センコーからも、茅ヶ崎効果って言われてたな!」

「はぁ?あいつも大概だぞ!?今日だって朝何時間かけてすっぴんに近いメイクにするって格闘してたことか……。2人で1時間半越えだぞ?」

「「え?」」

「ん?」

その発言に食いついたのは
男子ともう一人、女子生徒の豊橋だった。

「ちょ、万里……今なんて言った?」

「んぁ?だからぁ、朝何時間かけて支度したかって……。」

「2人でって言った…?」

「そー。」

「……摂津……、お前、茅ヶ崎さんと一緒に住んでんのか……?」

「ん?……寮だからな。」

「「寮!?」」

「MANKAI寮。劇団の寮で一緒に住んでんよ。」

「……まじかよ……茅ヶ崎さん…俺の!俺の茅ヶ崎さん!」

「いや、お前のじゃねぇよ。」

「万里………。そっか…劇団入ったって言ってたっけ…?」

「おう。」

万里は適当な返事をしながら
飴を咥えてスマホをいじりだした。

「茅ヶ崎さん…?だっけ?……やっぱりかわいい…?」

「……まぁな。」

「そっか……。」

「んだよ。人ののろけ話とか聞きたかねぇんだろ?だったら聞くなハゲ。」

「……万里の事は……知りたいよ……。」

「……なんて?豊橋、聞き取れなかった。」

「なんでもない!なんでもないけど……。」

小さな声で
「……泥棒猫が……ぶっ殺す。」と呟いた。

万里の耳には届かないように。

その後も、執拗に心の事を聞いてくる豊橋に
万里は「お前、変だぞ?」と伝えた。

「なんでそんなに心の事聞いてくんだよ。」

「そ、そんなに聞いたかな?」

「だいぶな。……変な奴。」

「でも、摂津羨ましいなぁ……。ミス花学とまで言われている茅ヶ崎心が彼女なんてなぁ……。」

「……お前ら、顔で見てんの?」

「へ?」

「言っとくけど、見た目がすべてじゃねぇから。」

「まじかよ……。今までの摂津なら『顔がいいなら俺の女』とか言ってそうなのに…。」

「俺がいつそんなこと言った!…心が今の見た目じゃなくても、俺は心しか選ばねぇよ。」

この発言には、周りの男子も
「言ってみて―!!!!!」と
大発狂をした。

「……茅ヶ崎……心……っ。…ッチ……。」


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