翌日−−−
「珍しい事もあるなぁ…真澄くんは日直だし、万里さんも咲也さんも進路相談だし…一人で帰るのなんて久しぶりかも。」
1人とぼとぼ歩く心は、帰り道の途中で綺麗な花を見つけた。
「何だろこれ……?」
「それは、キツネノボタンですね。」
「へ?!」
心が後ろを向くと、少し青みがかった短髪の男性がいた。
「あわわ!すみませんいきなり……。ここらにキツネノボタンが咲いているのが珍しくて……。」
つい気になっていまって……。とはにかむ男性に
お気になさらず!と心も微笑みかけた。
「お花好きなんですか?」
「はい。祖母の影響でガーデニングを少々……。」
「素敵ですね!」
「ありがとうございます。…あ、因みに、野の花ではありますが花言葉もあるんですよ。」
「へぇー……。」
「恵まれた生活、純真…。」
「素敵な言葉ですね!」
「はい!あともう1つが少し怖いんですが……。」
「え?」
「嘘をつくなら上手に騙して……です。」
「おぉ……恵まれた生活も、嘘の元にあるような感じがして怖いですね……。」
「ですよね……。少し皮肉にも受け取れる花言葉ですが…受け取り方次第かもしれないですよ?…。あ、すみません、ペラペラ話しかけてしまって…!」
「私こそ、足を止めさせてしまって、申し訳ありませんでした。お話楽しかったです!」
「ならよかった!…じゃあ俺行きますね。さよなら。」
「はい!さようなら!」
男性と別れて少し経った頃……。
心の目の前に体格のいいヤンキー4人が現れた。
「おい、茅ヶ崎だな?」
「……げ……。ど、どなたですか?」
(こーゆー時に限って1人とかついてないーwww)
「隣町のもんだ。ちょっと付き合え。」
「え……。」
――――翌日
真澄は1人で教室に入った。
「碓氷くんおはよー……って、茅ヶ崎さんと一緒じゃないの?」
「…そう。今日、心は学校来れない。」
「え!?具合悪いとか!?」
「……まぁ、そんなところ。」
万里も珍しく朝から学校に来ているようで、咲也と2人で教室前まで来た。
「万里くん……元気出してね…。」
「…はは…、お前もだろ…?咲也……。」
言葉を交わしてから、万里は教室に入った。
「……はよ。」
「よぉ摂津!…ん?お前、顔色悪いぞ。」
「………そ?別に普通………。」
いつもなら、棒付きキャンディーを舐めながら、スマホゲームをし始める万里だが
ソワソワしながら、何度もLIMEを確認しているようだった。
「………っはぁあぁぁ……。」
「お、おい…摂津……。マジで大丈夫か……?顔色マジでやべぇって……。」
「ん?どしたん万里??元気ないじゃん??」
「……なんだ豊橋か……。」
「なんだって何よ!心配してあげてるんでしょ!?」
「……そうだな……。実はよぉ……、昨日心、1人で下校だったんだよ。ほら、俺ら進路相談だったろ?」
「おお、そうだな。」
「………隣町のヤンキーに……心ボコられてよ……今、病院……。」
「はぁ!?そんな大怪我なのか!?」
「……意識が、戻らねぇんだよ………。うちの劇団の監督から、何かあったらLIMEするって言われてんだけどよ…。」
万里は肩を震わせながら
「心の目がこのまま覚めなかったら…。」
と言いながら、どんどん青ざめていった。
それを見て、豊橋は慰めるように背中を擦った。
「万里、元気出しなよ……。大丈夫だって……。」
「いや、もうダメだろ……。見るも無残なくらいだったんだぞ!?」
万里の目からは一筋の涙が流れた。
「……万里、泣かないでよ……。私も泣いちゃうじゃん。」
「……はっ、豊橋優しいじゃん……。」
「やっと気づいた?……じゃあ、席に戻るね?」
向きを変えた豊橋は、周りにばれないように
ニヤっと笑った。
手に持っているスマホには
ボロボロになった、心の写真が届いていた。
放課後――――
「よぉ、アマ。仕事はしっかりしたぜ?」
「ご苦労様。…じゃあ約束の200万ね?」
豊橋が金銭を渡そうとした、その時だった。
「警察だ!署まで同行願う!」
「……っ!お巡りさんっ!私今……恐喝されててっ…!怖かったっ…!」
「同行してもらうのは君だよ。」
「はぁ!?」
警官はヤンキー4人の隣を通り過ぎ、豊橋を捕まえた。
「ちょ、ちょっと!?どう見たって私が被害者でしょ!?なんで?!」
「なんでったってなぁ……豊橋。世間は狭いだろぉ?」
「……っ万里……っ?!」
「よぉ!……つーか、万里って呼ぶな!テメェは俺の女か何かか?!実の彼女ですら『さん』付けなのによぉ!」
「……っ!茅ヶ崎は!?あの子はどうしたのよ!!!」
「こいつらから話ぜーんぶ聞いたっつーの!意識もあるし、傷一つもついてねぇよ!なぁ、心。」
「じゃっじゃじゃーん!」
万里の後ろから、ひょこっと現れたのは無傷の心だった。
「っ…!?で、ででででも!写真がここにっ!!!」
「不思議だよなぁ…そんなに聞きたきゃ教えてやんよ。」
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