本格的に稽古に入った冬組は、まず
エチュード連をし始めた。

夕方近くになり、稽古を引き上げたいづみは
最後に冬組のリーダーを決めることにした。

「各組のリーダーが旗揚げ公演の座長を務めるので、同時に主役ということになります。あと、リーダーには基本的にはリーダー補佐がつきますので、そんなに構えずに立候補していただければと思います。」

「リーダー補佐??」

「はい。メイク担当も兼ねているんですが、心ちゃんがしています。リーダー会議の書記や、レッスン後のリーダーレポートの管理。カンパニーの運営方針提案など……。気になることがあれば、私や心ちゃんに相談できるような環境にはなっています!」

そこに、タイミングよく心がレッスン場に入ってきた。

「失礼します。…あ、丁度稽古終わりましたか?」

「心ちゃん、お疲れ様。今からリーダー決める予定だよ。」

「そうなんですね!どなたか立候補は……。」

心がそう聞くと、誉は
「主役も兼ねるなら経験者の方がいいんじゃないのかね。」と提案した。

「確かに、まとめ役としても演劇の知識は必要だろうし。」

「……すぅすぅ。」

「……まぁ、確かに夏組も経験者の天馬くんがやったり、秋組みたいに器用な万里さんがやったりとなりましたし……。」

「経験者となると、紬さんか丞さんですけど……。」

いづみが2人に話しかけるも、互いに譲り合うわけでもなく
ただただ沈黙が続いた。

「あの−−。」

「はい?」

「誰もやらないなら俺が……あ、でも他にやりたい人がいるなら辞退します。」

そう控えめに話すのは紬だった。

「お前、やるのかやらないのかどっちだよ。」

「−−。」

「紬さん、やってくれますか?」

「……やります。」

「それじゃあ、紬さんがリーダーという事でいいでしょうか?」

いづみが他の4人に聞くと
「まぁ、いいんじゃないかな。」

「ボクもそれで構わないよ。」

「……ぐー。」

「……。」

と4人それぞれの反応だった。

稽古終了後に、心は紬に話しかけた。

「紬さん!」

「……あ、えっと、茅ヶ崎さん?」

「心でいいですよ。茅ヶ崎だと私の兄もいますから。」

「そうだったね。春組の至くんとは兄妹なんだってね。確かに似てるよね。」

紬は優しく笑った。

「よく言われます。……それで、毎回リーダーには、その日の稽古のレポートを提出してもらってるんですけど、書き方がこんな感じで……。」

「……なるほど。提出期限とかあるのかな?」

「基本的には3日以内です。私が立ち会えた稽古や通し稽古等は、一緒に記入することもあるので、その時は小さな会議しながら気楽に行きましょう!」

「うん、よろしくね。……高校生なのに偉いなぁ、しっかりしてるね。」

「あはは……。そうですかね?……そう言えば、少し気になったことあるんですけどいいですか?」

「ん?何かな?」

「……丞さんとは何かあったんですか……?」

「え?」

「あ、いえ…!特に何もないならいいんですけど……少し、空気が重いような気がして……。」

余計なことをすみませんっ!!!と謝った心は
「リーダーレポート待ってますね!」と言い残し、その場を後にした。

「……あはは、あの子がリーダー補佐できるの、なんとなくわかるなぁ…。」

紬は笑いながら、部屋に戻った。

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