「ふぇー…まさか万理さんが言ってた、勘の鋭い子って一織くんの事かな…?」

湯舟にちゃぽん…とつかりながら、奏は浴室の天井を見上げた。

《伝説の歌姫…テウ》

「今頃どうしてるんでしょうね…テウちゃん…。」

しっかりあったまる前に、奏は湯舟から上がった。
一織にお風呂どうぞと声をかけてから
飲み物を取りにキッチンまで向かうと、壮五もホットミルクを作っているようだった。

「あ、どこに行ってたの?みんな探してたんだよ。お風呂は入れたみたいだね。」

「いいお湯加減だったよ。心配かけてごめんなさい、少し星見てた。日本の星は久しぶりだから新鮮で…。」

「そっか!あ、今ホットミルク作ってるんだ、一緒に飲む?」

「じゃあお願いしようかな?お鍋であっためるんだね。最近だと電子レンジで済ませちゃう人多いのに。」

「何でだろうね…小さいころよく母がこうして作ってくれたんだ。不思議だよね、あっためる方法が電子レンジなのか鍋なのかだけで少し温かみが違うように感じるんだよ。鍋だとひとの手が加わってる感じがしてより温かく感じて好きなんだ……はい、どうぞ。熱いから気を付けてね。」

奏はカップを受け取ると食事用の席に腰を下ろした。
壮五もその隣に、そっと座った。

「ありがとう。確かにそうだね、いっぱいあったかく感じるね…いいね家族の思い出って。」

「……もう僕にはいないけどね。」

「え?」

「ううん、ごめんね、なんでもないよ。奏は家族とは…。」

「私ももういいの……壮五さん、一緒に飲んであったまろ!せっかくだからあったかいうちに!」

「……そうだね!ねえ、奏?」

「ん??」

「明日もここで…。」

「いいですよ!毎日お話しましょう!寝る前は私、あったかいもの飲まないといけないルーチンだから!」

「うん、じゃあ僕も今日からルーチンにするよ。」

「へへっ、お揃いだね!」

ニコッと笑った奏に壮五は少し照れながら笑った。
そのあとは、時間が許す限り2人で話をした。

「みんなのマグカップ個性的ですね!あのプリンのは環くんだね!」

「そうだよ、彼は王様プリンが大好きなんだ。ほら、食器棚に空きビンが並んでるだろ?環くんのコレクションだよ。」

「ビンまで取ってるんだ…なんかかわいい子だね!隣の美少女が描かれているのは…。」

「ナギくんだよ、まじかる☆ここなってアニメがあって、彼はそのキャラクターが好きなんだよ。」

「へー…久しぶりの日本で、どんなアニメやってるか知らないからちょっと新鮮だなぁ…。」

「気になるんだったら、ナギくんに聞いてみるといいよ!DVDは全巻そろってるって言ってたから、きっと喜んで上映会してくれるよ!この間は環くんと三月さんと大和さんとナギくんで朝までコースの上映会してたよ。」

「次の日休みじゃないとできないね、それ…。」

「ふふっ、そうだね。…もうこんな時間だ、明日は初出勤かな?頑張って!」

「うんっ!明日はみんなのレッスン風景見に行きます!」

「じゃあいつも以上に頑張るよ!…コップは僕が洗っておくからいいよ、先に寝て?」

「だめだよ!ごちそうになったお礼に私が洗う!」

「じゃあ…待っていようかな?部屋まで送るよ。」

「室内だしそんなに危険じゃないから大丈夫だよ…。」

「奏の部屋の位置も知っておきたいんだけど…ダメかな?」

優しく微笑む壮五に胸打たれた奏は
はいっ…大丈夫です…とそっぽを向きながら答えた。

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