今日はIDOLiSH7、新曲発表の日
………なのだが、外は大雨で電車が止まるほどの大風である。

「雨…すごいですね…。」

「なー、せっかくかななとてるてる坊主作ったのになー。」

「ホントに…最悪の土砂降り…。」

奏と環と三月は控えている部屋の入り口から
顔をひょこっと出して空を見た。

「コスチューム水浸しデス…。」

「マネージャー、機材が大丈夫ならやってもいいと思うけど…。」

「大和さん…。機材は雨よけをしてるので問題なさそうですけど…。」

壮五も外を見て、駅に並んでいる人が多いことに気が付いた。

「この台風の影響で、電車がとまってるのかもしれないね。」

「あ、ほんとだ…。みんな寒そうですね…。」

ずんと沈んだ空気を変えたのは環の一言だった。

「じゃあ、やろうぜ。電車が止まると退屈じゃん。暇つぶし、なってやろうぜ。」

「あはは!暇つぶしなんて変な奴。俺は環に賛成!せっかく俺たちがいるんだ。電車待ちの間、楽しんでもらおう。」

「はは……。そうだな。どうせ濡れるんだし、踊って帰るか。」

「イエス!踊っていれば、雨も楽しいです。」

それを聞いて紡は準備に取り掛かった。

「みなさん、足元は雨でコンディション最悪です。ターンの際、気を付けてくださいね!」

「ええ、わかりましたよコーチ。」

奏がみんなに声をかけているとき、紡は陸の様子がおかしいことに気づいた。

「……あれ?陸さん、どうしたんですか……?踊る前から、息が切れてますよ。」

「は……っ、は……、大丈夫。さっき、ちょっと、走ったから。」

その言葉を不審に思った奏と一織は無言で陸を見つめた。

「それでは、いきまーす!みなさん、スタンバイしてください!」

「楽しんでね!」

「「「「「「「おう!」」」」」」」

7人がステージに上がった後、奏はステージに集まっている人の後ろのほうに行き
みんなのパフォーマンスを見続けた。


「陸くん…大丈夫かしら…?走ったって言ってたけど、そんなに髪も濡れてなかったのに…。あんなみえみえな嘘ついちゃって…。」

7人の元気な歌声は台風に負けなかったようで、どんどん人だかりができていった。

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