「…!すごい人になっちゃった!傘さしてたら危ないよね…私も濡れちゃうか!」

そう言って奏はさしていた傘を閉じた。

「ありがとうございまーす!IDOLiSH7でした!」

陸の挨拶の後、響いたのは観客からのアンコールだった。

「あはは!これ、何回目のアンコールだ?」

「いいよ、電車動くまでやろうぜ!」

そう環が提案したが、陸の息はもっと上がっていた。

「七瀬さん…。」

「新曲、もう一回歌いまーす!みんな、もう覚えたでしょ!一緒に歌って!」

一織の心配は陸の耳には届かず、また7人は踊りだした。

「陸くん…大丈夫かな……?遠目からみてもすごい息の上りようだよ…。ん?テレビ中継?!」

奏がふと隣を見ると、テレビカメラとリポーターが中継していたのだった。

「こちら、台風の影響で全線運転停止している渋谷駅から、現在の模様を中継しております!駅前の広場にはご覧のように、電車の再開を待つ乗客たちでごったがえしています!その中で、ええー、バンドですかね?元気のいい歌声が響いています!台風を吹き飛ばす勢いで、大変な盛り上がりを見せております!」

「お姉さん!バンドじゃなくて!IDOLiSH7です!名前だけでも覚えてください!」

「隣のお嬢さんからの情報です!彼たちの名前はIDOLiSH7だそうです!日本はまだまだ元気ですよー!」

中継リポーターたちが撤退すると、紡が走ってきた。手に持っているカンペには
『運転再開しました!』と大きく書いてある。

「あれ?奏さん!傘は!?」

「邪魔で閉じちゃった!みんなも濡れてるし、いいかなって!」

「風邪ひいちゃいますよー…。あ、そうだ、これ皆さんに見せなきゃ!」

そう言って紡は背伸びしながら7人にカンペを見せた。

「っ!…電車再開!おめでとうみんな!あったかいお家に帰れるよー!」

「IDOLiSH7でしたー!」

観客がわーっと拍手をする中、7人は控えていた場所に戻っていった。


「みなさんお疲れ様でした!とってもかっこよかったですよ!」

そういいながら紡はみんなにタオルを配った。

「ありがとうマネージャー。…で、なんで奏も濡れてるのかな?」

「えへへ…みんなが楽しそうだったので、私も傘を閉じて楽しんでました…。」

「風邪をひいたら大変じゃないか!」

「うっぐっ!!」

まったく…といいながら、壮五は奏の頭をごしごしと拭き始めた。

「…っ!七瀬さん!!!!!」

一織の大きな声がしたほうを見ると、ぐったりとして倒れている陸がいた。

「マネージャー!七瀬さんの荷物を探ってください。発作止めの吸入器があるはずです!」

「発作…?!」

「七瀬さんは……、呼吸器系の病気を患っています。長時間の激しい運動はできないんです。」

その言葉に、みんな驚いた。


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