今まで通り、路上ライブでの宣伝
フライヤー配布
SNSでの宣伝活動

それ以外にもファンや、動画を見たという音楽サイトからの取材…
以前よりも、大きな声になっていることを
紡は感じていた。

「私たちには、こんなにたくさんの味方がいるんだ……。」

「そうですね!マネージャー!」

「もっともっと、広がっていきますよ!広げていきましょうよ。俺たちの真心を込めて、あの子たちの歌声を、もっとずっと、どこまでも遠くへ。」

「「はいっ!」」

−−−−
−−−
−−


明日はついに、チケットの予約日となった日の夜…。

少し早めにキッチンについた奏は今日こそは!と
ホーロー鍋に牛乳を注いで、紅茶の茶葉をしっかりと入れた。

「今日はちょっと贅沢に…!」

ふんふんと鼻歌交じりで温めていると
後ろから壮五が、いい香りだね!と声をかけてきた。

「あっ、壮五さん!」

「今日は奏のほうが早かったんだね。ロイヤルミルクティー?」

「そうです!だって明日はついにチケット予約開始日ですよ!気合い入れて少し豪華にしてます!」

ふんっ!と自慢げな顔をする奏を見て、壮五はそうだね!といいながら
頭を撫でた。

「じゃあ、記念日にもしよう。奏がホットドリンクを作るのは初めてだからね。」

「壮五さん…。」

「砂糖は大目でね?」

「え、でも甘いの…。」

「この間、ラム酒入りの飲んだから、次は君と同じものを共有したいんだ。」

「…じゃあ、私の一口上げます!こないだのお礼ですよ!」

「……奏にはかなわないなぁ。ありがとう、じゃあ一口もらうよ?」

「はい!…煮だすまでに時間がかかるんです…少し、ゆっくりしましょう。」

「そうだね。」

コンロの後ろにあるカウンターに背中を預けて、2人で
鍋の中で踊る茶葉を眺めた。

「パックから出したの?茶葉。」

「いいえ、元から茶葉だけのタイプです。ダージリンですよ!パッケージが紫だったのでつい……。」

「つい…?」

「壮五さんの色だなって…。そう思ってたら買ってて…。」

「僕の事思いながら買ってくれたんだ。ありがとう。」

「すみません…私にこんなこと言われても困りますよね!ただのマネージャーサポートだし、事務員だし、コーチだし…。」

「嬉しいよ。奏の時間に、僕を少しでも入れてもらえて。」

「そっ、壮五さんって…恥ずかしい事簡単に言いますよね!」

「そうかな?…結構口下手な方なんだけど…奏には、僕の本音を聞いていてもらいたいから…。」

「そっ、壮五…さん!」

「まだ さん は取れないか…はは…。」

「うっ…。ほら!できましたよ!濾しますからカップ持ってきてくださいっ!」



−−−−
−−−
−−


壮五さんはずるいです…

人の気持ちも知らないで……

たまに見せるかわいらしい表情も

撮影の時に見せるクールな表情も

私だけにくれる優しい言葉も

甘い言葉も全部全部

ずっと続けばいいのにって……

本当の私を知っても、あなたは

今日のロイヤルミルクティーのように

甘く、温かく、私を受け止めてくれますか?

prev next
back