その夜はみんなで焼肉でお祝いをした。
「ライブの時さぁ!この位置にはりっくんが来て…。」
「こら環くん!網の上でお肉を使ってフォーメーション決めなんてお行儀悪いよ!」
「だってさあ!今から楽しみじゃんか!」
人数が多いため網は3つにわけてもらって机を用意してもらった。
奏の席は4人で
紡と環と壮五が一緒だった。
「そうですね!今からすごく楽しみです!ステージの演出も少しずつ手を加えてより良いものにしますね!」
「明日から忙しくなりますね!レッスンも今まで以上にビシビシいきますよ!」
「よろしくお願いします、コーチ!」
「壮五さん今日も飲まないんですか?お酌しますよ?」
「ありがとう。でもいいよ、夜のお楽しみができなくなると嫌だから。」
「あっ…。今日もよろしくお願いします…。」
「え、なんですか!?壮五さんも奏さんも!」
「あー、マネージャー知らないもんな。そーちゃんとかなな、な?寝る前にいつも2人でいーもん飲んでんだぜ!」
「いいものって…ただのホットドリンクだよ環くん。」
「私が壮五さん付き合わせちゃってて…。」
「そんなことないよ!僕も楽しくて行っているんだから!」
はわはわと、お互いをたてる2人を見て、紡は笑った。
「お2人とも少し似てますよね!雰囲気というか、なんというか…。」
「そ、そうかな?」
「おう、似てんよ。お似合いってヤマさん言ってた。」
「「環くん!?」」
「ん?どーしたんだ2人とも。」
「環くん、その大和さんが言った言葉ってどこまで知ってるのかな!?」
「へ?似てるってことだろ?どんぐりの背比べみたいな。」
「それ言うなら瓜二つでお願いしたかったなー…。はは…。」
「でも確かに、お似合いですよ?」
「紡ちゃん……やめてよ!壮五さんに失礼だよ……。」
申し訳なさそうに、しょんぼりしながら
なぜかタン塩用のレモンだけ5つも食べ始めた奏を見て
紡は、ははん、照れてるな…と笑った。
「奏!?酸っぱくない!?」
「しゅっぱくないです…っ!」
「うん、酸っぱいんだね…。お肉焼けたから食べな?」
「はいぃっ……。」
その日食べた焼肉の味は全部酸っぱかったと
奏は後日、紡に話した。
その日の夜…
環から聞いた
「2人ともお似合い」というフレーズに少し気まずくなりながら
焼肉後もあって、さっぱりとしたオレンジペコを飲んでいた。
「…なんかすみません、私の趣味につき合わせて、挙句の果てには誤解されちゃってるみたいで…。」
「そんなことないよ!好きで僕も毎晩ここにきているんだし……それに、その…。」
「ん?」
「少しうれしかった……。知り合いからみて、お似合いに見えるってことは、…2人で外に出かけたら……恋人に見えるのかな?って…。」
「え…。」
「ごめんね!いやだよね!本当にごめん!忘れて!」
「…いです。」
「ん??」
「忘れたく…ないです。今の言葉だけは。」
「奏……。」
「えへへ、今の私の言葉のほうを忘れてくださいっ!私の心の中だけで、きれいな思い出にしときますからっ!」
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きっと彼女は気づいているんじゃないかな?って思った
自分の気持ちに
でも気づかないようにしているのかもしれない。
それはなぜ?
僕を困らせないように?
それとも、自分を傷つけないために?
ならば、先に気づいてほしい……。
君がその答えにたどり着いてくれれば
僕が君を全力で守るのに……
オレンジペコのさわやかな中に
少しほろ苦い何かを感じた。
それは今の僕の気持ちなのかもしれない。
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