「ここかな…?」

キャリーバッグをコロコロ転がしながら、渡された地図通りに歩くと
車4台は置けそうな車庫付きの大きなアパートのような建物にたどり着いた。
引っ越し業者のトラックも止まっているのでそうに違いない。

「ようこそ!小鳥遊プロダクションへ!」

そう言って迎えてくれたポニーテールの男性は、どうやら引っ越しの手伝いに来てくれているようだった。

「こ、こんにちは!兆奏と申します!きょ、今日からお世話になります!」

「事務員の大神万理です。社長からは伺ってるよ。引っ越し作業を手伝いにきました!大きな家具なんかは遠慮せずに、どんどん任せてくださいね!」

「はいっ!ありがとうございます!」

「俺は後でメンバーの所にお弁当を持っていくよ。今みんなレッスン中で…あ、紡さんと大和君は社会の洗礼を浴びに行っているんだけど…。」

「しゃ、社会の洗礼…??」

「ちょっと他事務所にね…。」

「胃薬系ですか…?」

「まぁ…そんな感じだね…。」

ははは…と2人は笑いながら、段ボールを運んだ。

奏と万理が中に完全に入った後に、レッスン中のはずの
環と壮五が何故か寮に帰ってきた。

「だめじゃないか、環くん!スマートフォンはちゃんと持ち歩かなきゃ!」

「初めて持つんだからしゃーねーじゃんか!今までにない習慣なんだよ!」

「いいから早く部屋に取りに行って…って、大きなトラックだね…。」

「おー、なんか俺らがここに来た日に見たくらいおっきいトラックだな!」

「そうだね…って、え!?」

「「プリンセスベッド!?」」

寮の入り口で、搬入された女性向けの寝具に2人は目を丸くした。

「って!そんなことは後でいいから早く取って来なよ!環くん!」

「そんなことって!そーちゃんが最初に食いついたのにぃ!」

ったく…と言葉を小さく漏らしながら、環はスマホを素早く取りに行った。

レッスン場に向かう2人は先ほどのトラックの話を
他のメンバーにしてよいものかと悩みながら、あーだこーだと
話をした。

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