猛ダッシュのおかげでなんとか歌まで間に合った奏は驚いた。

いつもの半分も声の出ていない陸と、立ち位置がぐずっとなっているIDOLiSH7だった。

「え……なんで…?っ!すみません!何かあったんですか!?」

奏は近くにいた長身の茶髪の男性に声をかけた。

「え!?俺!?……歌いだしであの青い子が失敗してしまって、そこからみんなフォローに入ろうとしたんですが、うまくいかなくて……。」

「一織くんが……そっ、………そうだったんですね…。すみません演者さんですよね…?声かけてしまってすみませんでした…。」

「いえ…。」

「龍、行くぞ!!!!」

「ああ、今行く!……いいグループなのにつらいでしょうね…挽回できずに曲が終わっていくのは…。」

「そうですね……。教えてくださってありがとうございました。」

「いえ…では、またどこかで。」

そういって男性は場を後にした。

奏も袖には居ずらくなったため、7人の楽屋で待つことにした。

「……みんなお疲れ様。」

「奏さん、間に合ったんですね。」

「うん、紡ちゃんのおかげですぐ来れたよ。」

会話がないメンバーを見て紡と奏は声をかけようとするが
言葉が見つからなかった。

「………OH、イオリは?」

「…………。…見てないけど…。」

「みっきーも見てない?」

「いや、見てない……。」

「…もしかして、一織、歌うの忘れたこと、気にしてるんじゃないかな?」

「紡ちゃん…電話したけど、繋がらないよ。」

「………っ、私、探してきます!」

「俺も行く!」

「全員で探しに行こう!」

8人で一織の名前を呼んで探すも、なかなか見つけることはできなかった。

「どこいったんだ、あいつ……。」

「いおりん、大丈夫かな?」

「あいつ、子どもの頃から何でもかんでも完璧にできて…俺が知る限り、失敗したことなんかないんだ。……だから、今日が初めて……。」

「…っ、一織が歌を忘れたのは俺のせいなんだ!あのとき発作を
起こしかけてて、そのことに一織は気づいて、それで…気が散って…。」

「陸くん、誰が悪いとかそんな犯人捜しのようなことはしなくていいのよ。早く一織くん見つけないと……。思いつめてたら…。」

「そうだな。ミツ、あいつの行きそうなところは?」

「わかんねぇ……。あ!もしかしたら…!」

三月曰く、自分が落ちこむ度、一緒に何回か連れて行ったことのある場所があるというので

そこに行くことになった。

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