「三月さんそこって、どこですか?」

「…ゼロアリーナだよ。」

夜の闇に綺麗に光るゼロアリーナを見ながら
一織は風に当たっているようだった。

「一織、一織……!」

「………っ、」

「馬鹿!何逃げてんだよ!」

「…兄さん!離してください!」

「一織…。」

「わ……私のせいで、あんなことに……。あなたたちに合わせる顔がありません……。みんな……あんなに、頑張ってたのに……皆の夢を一人で台無しにしてしまった…。」

そう言うと、一織は頭を深く下げながら、ごめんなさいと何度も伝えた。

「一織さんのせいじゃありません……。現場が混乱することを予測して、私が十分な準備をするべきでした……本当に、ごめんなさい…!ひっく…っ」

「紡ちゃんはちゃんと対処したよ…的確な指示があったから、私もすぐに現場に来れた。私のコーチミスです。みんなに何もかも丸投げして……ステージ上でのアクシデントに備えた練習メニューを組んでいなかったことが原因です……ごめんなさい…。」

「な…、泣くなよ…一織も、マネージャーも…泣いたって…っ、しょうがねえんだから…。」

三月と陸はもらい泣きをしたようで、大和と壮五、環、奏はどんな声をかけたらいいのか
悩んでいるようだった。

「……OK。」

「ナギ…さん?」

「1.2…ワタシ踊ります。みなさん好きな歌、歌います。何がいいですか?」

「……何言ってるんだよ…。」

「OH、ワタシアイドルです。人を笑顔にするのが仕事です。みなさん、笑ってほしいです。」

「…っ、…ナギ…。」

ナギのダンスにみんな少しずつ元気になっていくのが分かった。

「一人でも踊れます。でも、まだ、一人では見栄えしない。OH、ガール!」

そういって紡の手を取ったナギは一緒に踊ろうと誘った。

「わ、私…踊ったことなんか…。」

「イッツイージー。ワタシに体を預けて…。体を揺らして。怖がることはひとつもないよ。」

「な、ナギさん…。」

「ガールが不安なら、見本を付けましょう。ソウゴ、奏。あなたたち踊れますね?」

「え?僕ら!?」

「ダンスは一通り習ってたからできるけど…。」

「僕も…。」

「ならよいコーチなります。レッツトライ!……Oh…ソーリー、ここにいる音楽家たちは気が利かないです。せっかくのダンスパーティーなのに。プリーズ、ミュージック!」

「あ…。」

「OH、返事がない。もう一度、紡と奏からおねだりしてみては?ここにあるミュージックボックスに、コインはいりません。聞かせて、と誰かが言えば、何度でも蘇ります。月が満ちるように。朝日が昇るように。ワタシたちのハートビート、決して決して、絶えることありません。」

みんな、心を一つにしたようだった。

「いいよ、やってやろうぜ。マネージャーとコーチのためだ。」

「はは、そうだな!」

「踊ろう…っ!奏、手を……。」

「っ、はいっ…!」

「僕たちはいつも、どんな時でも歌ってた。」

「それは全部無駄なんかじゃない。どんだけ無様でも…聞いてほしいんだ。もっと観てほしい…。」

「ほら、一織も…。おまえがいなきゃ始まらないよ。」

「七瀬さん…。」

「ナギ俺もだよ!みんなに笑ってもらうのが好きだ!そのために歌ってた!」

みんな初心を思い出したようだった。

三月に関しては人生初めての経験だ!と言いながら
一織をハグしながら慰めていた。

「オーライ!それでは紡、奏、魔法の言葉を。」

「「プリーズ……。プリーズミュージック!」」

みんなが笑いながら、いつも通り楽しそうに歌っていた。

紡もなれないステップを弾ませながらナギに合わせて踊り
奏も壮五にすべてを預けて綺麗なステップを弾ませた。

「おー、ソウと奏うまいなー!」

「さすがお手本というか…。」

みんなの心が傷ついているのは、皆が知っていることだった。
それでも必死に隠して、みんな月明かりの下で
歌って踊って笑った…


こうして、2人ぼっちのデビューは決まったのだった。

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