引っ越しの荷物の搬入は終わり、あとは洋服や雑貨を
納めるだけになった、引っ越し組の奏と万理。
「あ、そろそろお昼の時間ですね。奏さんはどうされますか?」
「もう少し片づけます…。案外荷物が多くてびっくりしてます。」
ははは、と頭を掻きながら奏は万理に伝えた。
「では私は、レッスン場にお弁当を持っていきますね!…あ、そうでした!今夜は寮で歓迎会をしますよ!楽しみにお腹を空かせいてくださいね!」
「はい、楽しみにしていますね!…あと、万理さん…お話が。」
「…どうしました?」
「社長から私の事は……。」
「………全部聞いていますよ。紡さんはもとからのお知り合いだったので口止めされていましたよ。知らないのは彼らだけです。」
「そうですか……。」
「まさかでしたけどね…あなたが…。」
「それ以上はっ…!!」
「ははは!すみません!……でも、あの子たちの中には感の鋭い子が何人かいるんですよ。」
「お、脅さないでください!」
「すみません!では、行ってきますね!また夕飯時に!」
はい、いってらっしゃいです。と両手を振りながら奏は
万理を見送った。
「さぁて…夕飯までには、この惨状をなんとかしなきゃ…。」
散らかった部屋を見て、少しため息をつきながら
せっせと片づけを始めた。
−−−−
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ふと外を見るとすでに日は落ちかけており、夕方になっている事に奏は気が付いた。
「はぅ!もうこんな時間!?夕飯がいつだかわかんないけど…さすがにもう時間が…!」
あたふたしていると部屋のドアをだれかノックしてきた。
「ど、どうぞ!」
「…失礼しまー…、あっ!奏さん!久しぶりです!」
「紡ちゃん!!!あー!お姉さんになったねー!!!」
久ぶりの再開に2人は抱き合いながら
ぴょんぴょん跳ねた。
「お元気でしたか!?この度は父がいきなりすみません…ですが助かりました!勉強とは言っても独学みたいなところが多くて困ってたんです。」
サポートお願いします!と深々を頭を下げる紡に奏は慌てて
頭を上げるように伝えた。
「サポートもできるかどうかわからないけど…少しでもお役に立てるなら!大学も正直飽きてきてたし…。」
「感謝です!今は、メンバーの和泉一織さんにもマネージメントをしてもらってるんです。」
まだ高校生なのにしっかりしてて、私よりも…。と苦笑いする紡を見て奏は驚いた。
「アイドル自身がマネージメントを?珍しいね…。」
「ええ、本人もあり得ないかもしれないとはお話されていました。なので他のメンバーには内緒で…。」
「かしこまりました…。紡ちゃんも私の事は…。」
「はい、内緒事項うかがってます。でも、壮五さんあたりは気づきそうですけどね!」
「ぅぐっ!勘が鋭い子1号くん!?」
「なんですかそれ???」
「なんでもないよ…。今日の夕飯は寮でみんな一緒に食べるって聞いたけど、紡ちゃんも??」
「はい!皆さんに奏さんを紹介しなきゃいけませんし!楽しみですね!社長があと半年後じゃないと出会えなかったはずのお寿司を注文してくださったんですよ!」
「なに?その半年お寿司って…。」
「環さんなんか、きっと泣いていくらとの再会を喜びますよ!奏さんのおかげですね!」
「喜んでもらえるならよかったよ!」
では、いきましょうか!と紡はダイニングまで案内した。
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