奏はタクシーを捕まえて、2人のいる局まで急いだ。

「じゃあお疲れ様でした、逢坂君、四葉君。」

「はい、お疲れ様でした。」

「うっす。」

「こら、環くん、挨拶はちゃんと…。」

「あっはっは!逢坂君も大変だね!……次は頼むよ!」

「あっ、すみません……お疲れ様でした…。」

テレビの収録が終わった2人は
スタッフの方との挨拶まわりをしていた。
環の挨拶は壮五の必死のフォローで毎回
お咎めを避けている状態だった。

「さあ、環くん楽屋に戻ろうか。」

「んー。」

楽屋に戻るタイミングと奏が来たタイミングがちょうど重なり
お疲れ様と壮五か声をかけてきた。

「あ、壮五さん、環くんお疲れ様。どうでしたか?」

「うん、ちゃんと環くんも受け答えができたし、僕もしっかりこなせたと思うよ。」

「そうですか、よかった……。」

「みんなは、どうしてる?」

「みなさん元気ですよ!今日も7人で出れるWEB生放送番組のお仕事が入りました!お2人には一度MEZZO"としての出演もあるのですが…大丈夫そうですか?」

「まじ!7人で出れるなら余裕!」

「うん、そうだね!すごく楽しみだよ!」

「私も楽しみです!きっと、ファンの方も喜んでいらっしゃいますよ!……では次の現場は2時間後にWEBラジオ番組なのでスタジオまで急ぎましょう!」

「うん!」

「なー王様プリン食いたい!」

「えぇーっと…。」

「環くん、奏を困らせたらだめだよ…。」

「すみません…帰りに一緒に買って帰りましょう!」

「約束な!」

「約束です!なので急いでタクシーに乗ってください!」

奏がスマホで予約していたタクシーの番号を調べていると
紡からラビチャがきた

「なんだろ…?あ、壮五さん!その2番目のタクシーです!」

「了解!」

3人はタクシーに乗り込んで
奏は紡からのラビチャを見て喜んだ。

「大和さん!ドラマの話引き受けてくださったそうです!」

「ドラマ!?」

「なんの!?」

「月曜2時のドラマです!……よかった…でもなんでいきなり…、先ほどまで大和さん乗り気じゃなかったんですよ?」

「俳優の仕事、大和さんがIDOLiSH7の中では初ですね。」

「ヤマさんすげー!」

「はい、すげーですよ!環くん!」

「俺もがんばらねえとな!」

その日のラジオの収録の2人は
今まで以上に力が入っているように感じた奏だった。

あの日以降、奏はMEZZO"のマネージャーとして着くことがなかなかできず、ドラマ出演をする大和に着きっきりになってしまった。

ドラマ撮影の休憩中に
大和は、申し訳なさそうに奏に話しかけた。

「すまんな、コーチもあるし、MEZZO"のマネージャーもあるのに……俺ばっかりに付き合ってもらって…。」

「大丈夫ですよ!確かに2週間も2人に逢えていないのはさみしいですか……。」

「……ソウとホットドリンク飲めてないの?」

「飲めてないです……。今までずっと日課になってたので…寂しくて…って!私何言ってるんですかね!忘れてくださ…。」

「お兄さん記憶力いいんでね、忘れないわ。」

「もー!いじわるなしですよ!」

「ははっ!……でもそれ、ソウが聞いたら喜んでくれるぞー!」

「そうでしょうか……?MEZZO"の人気はすごいです……私もちゃんと間近で見てきました…嬉しいはずなのに……壮五さんが女性に囲まれているのを見ると、胸が痛いんです……。」

「………お姉さん、夜お兄さんとホットドリンク飲んでみる?」

「え?」

「話聞くよ。まあ、聞くしかできないからあまり期待しないでね。」

「……ありがとうございます。」

「ん。じゃあ、撮影戻るわ。」

「……っ、はい!いってらっしゃいです!」

その日は大和と奏の帰宅は遅く、日を跨いでいた。

「さすがにみんな寝てるよな……。」

「そうですね……ごはん食べますか?」

「食う。夜遅いけど腹減ったわ…はは。」

「じゃあ温めますね!今日は唐揚げなんですね。」

「じゃあハイボールだな!」

「私もいいですか?」

「ホットドリンクじゃないの?」

「この前は、壮五さんとソノラ飲んだんですよ!だからお酒もOKなんです!」

「新ルール入ってんのか。んじゃ、乾杯。」

「乾杯です。」

「「いただきます。」」

「ミツの唐揚げうまいな!」

「特にこの時間っていうのも罪な感じで……。」

「女子には確かに罪な時間と食べ物だな!………………んで…?ソウがなんだって?」

「っ…!結構早い段階で聞いてくるんですね…大和さん…。」

「そりゃお兄さん、今日の仕事は、夜にこれが聞けるって思って頑張れたから。」

「優しいって思った私がちょっと馬鹿です……。」

「おー、そうだな。」

「………気づいてるんです、私。壮五さんの事が好きだって。」

「おっ!?」

「でも私マネージャーだし……壮五さんアイドルだし……言ったら迷惑になるってわかってるはずなんです……。でも、日に日に思いは募るばかりで…。」

「まじで『ごめんね、好きなんだ…。』じゃん。」

「リアルmiss you…です。」

「……毎日顔が見れればいいって思ってたんです。それだけでいい。それ以上は求めないって……。でも、やっぱりつらくて…。」

「………イチが言ってたことって、案外当たってんのかもな…。」

「へ?」

「あー、いやぁ、別にこの話ってわけじゃないんだけどさ、イチとソウと一回恋バナみたいなのしたことあってさ、そん時イチが言ってたんだよ。恋はどんどん慢性化するって。」

「病気みたいにいいますね…。」

「だろ?そー言ったら、恋の病って言葉あるだろ?みたいな感じで返された。」

「一織くんらしいですね。」

「……どーすんの?ソウの事。」

「………我慢は慣れてますから。」

「はぁあああー……お前ら似てるなぁー……。」

「え?」

「いーや、なんも。お兄さんの独り言だ。」

「……今日は飲んで忘れます……。」

「いいのか?明々後日…じゃないな、もう。明日は生放送番組の日だぞ?あんま飲んで疲れためこんだら、またぶっ倒れるぞ?」

「精神的なもので倒れてもいいですか…?」

「…………飲め。」

「ありがとうございます。」

「まぁ、幸い、お前は飲んで酔い回ってもすぐ醒めるタイプだからいっか!」

ある程度、飲んでグッダグダになってしまった奏は
大和に支えられるようにしてなんとか椅子に座れてる状態だった。

「お姉さん大丈夫…?めっちゃ泣いてるけど…静かに。」

「っ!…だって…っ!私!好きなんですよ!?なんで…なんでええぇええ…すんっ。」

そこに目が覚めて水を取りに壮五がちょうどやってきた。

「………大和さん、…と奏…?」

「お、おおソウ。お疲れさん……。」

「ぅう…っ、壮五さんっ…ううっ……っ!」

「………すみません、なんでもないんです。ただ水を取りにきただけで、その…。」

「ソウ、今お前どう思ってる?」

「え?」

「……こいつ、このまま俺が貰ってもいい?」

「え………?」

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