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私の家は大きな大きな大きな会社経営をしてる。
『兆財閥』オースピスカンパニーって言えばFSCとも並ぶほど大きな会社で……
私はその兆家の長女として育った。
5つ上には兄がいて…
会社を継ぐようには教育はされなかった。
何故か兄もそうだった。
「やりたいことをしなさい」
それが両親の口癖だった。
活発になんでも興味津々だった兄と違って、私は内気で…
何か一つは習い事をしなさいと言われた4歳の時
何も思いつかず、適当にピアノを始めた。
とにかく退屈で…
音楽にはこれっぽっちと言っていいほど興味はなかった。
楽譜も読み方すら覚えなかった。
それでも弾けた。
「……奏ちゃん、楽譜読まないのなんで?」
「先生が一回ひいたら…奏わかるもん。」
私には、絶対音感があった。
先生は驚いたのと同時にあきれて、その日から試し引きをしなくなった。
ブルグミュラーまで進んでるのに楽譜が読めないなんてシャレにならないと
その日から猛特訓をさせられた。
ああ…退屈が増えた。
結局、好きなことをしろと言う割には
どんどん増えていく習い事も
退屈だった。
どうせ、この会社は兄がいずれ継ぐ
私もどこかに嫁がすんだろうな……。
幼少の私でも簡単に察した。
毎日に何も興味が持てなかった時だった…
テレビにふと目をむけると
楽しそうに歌って踊っている
男性がいた。
ゼロだった
彼の圧倒的な歌唱力、パフォーマンス力を見た私は
初めて親に要求した
「ゼロのコンサートに行きたい!」
両親はすごく喜んだ。
今まで何も興味がなく
学校でも内気な性格が治ることはなかったので友達もいない…
そんな私が、何かをしたいと言ったのだから。
なかなか手に入らないゼロのコンサートチケットを寄せてくれたのは
父と仲の良かった小鳥遊社長だった。
「僕でも難しかったけど…なんとか2枚取れたよ!」
そういって譲ってくれたチケットで見たゼロのステージ…
私も、そうなりたい…
歌うって、踊るって…楽しそう。
初めて自分から習い事を決めた瞬間だった。
いつしか将来の夢も
人並みに書いてた「看護師」から
「アイドル」になっていた。
中学に上がると、内気だった性格は少しずつ取れていき
友達ができた。
2人だけ…
いっぱいいなくていい。
狭く深い付き合いができればいいと思っていたから。
そもそも私の通っていた中学は高校まで繋がっていて
いわゆるお嬢様学校というものだった。
その中で、私がダンスや歌うことが好きだなんて言えば
「それ、将来性ある?私はパパの病院に勤務するから今から医学用語覚えてるわ。」
「ダンス?あー…ダンスパーティーもあるものね!」
と、辛辣な言葉から天然受け返しが帰ってくる…。
違う……私は、アイドルになりたいのに。
ちょうど、高等部に上がる前だった。
少し小さな事務所から
アイドルとしてデビューをしないか?と声がかかった。
そこが岡崎事務所…
ダンスの大会
歌の大会で好成績を収めていたことは確かで…
でもまさか、事務所から声がかかるとは思っていなかった。
ちょうどRe:valeというアイドルグループのデビューがあるようで
それに乗っかって…とのことではあったけれど………
何はともあれ、憧れだったアイドルになれるのだから
断る理由はなかった。
「お父さん!お母さん!私、アイドルデビューしたい!」
両親の承諾が必要なため、事務所の岡崎社長を家に招待し
話を進めると、あっさりとしたもんだった。
「やってみなさい!父さんも母さんも、奏のやりたいを全力で応援するから。」
こうして私は、アイドルとしてデビューすることになった
「では、名前は本名でいいかな?」
「………いえ、芸名でお願いします。」
「何か不都合が?」
思い出すのは、友達の言葉……
あまりよくは思ってなさそうだったもんね……
2人とは仲良くしてたい………
姿を隠して、活動しよう。
「少し、不都合で……。」
「わかったよ。今度デビューするRe:valeの2人も芸名なんだ。百と千って言うんだけどね。君も名前の兆から取ろうか!……チョウじゃ笑えるね!……テウでどう?蝶は昔、テフテフからテウテウになってチョウチョウになったって言うし!君も蝶みたいに綺麗に舞えるよ…確実に!」
「……ふふっ、じゃあそれで!あと……ギャルになりたいんです。」
「ギャル!?なんで!?」
「非日常な私でステージに立ちたい……。今のままの私だと……。」
−それ、将来性ある?−
友達の何気ない言葉は私の胸のどこか…奥の方をずっとつついていて……。
私じゃない私でないと、ステージで生き生きと歌って踊れる自信がなかった……。
「いいよ。その方向で行こう。……君の丁寧な優しさと、ちょっと小悪魔なギャルスタイルはきっとギャップになっていい結果になると思うよ。」
こうして、テウは完成した。
「百さん!千さん!今日、スタジオ一緒ですね!」
「おー!テウりんお疲れー!今日もキュートだねっ!」
「セクシーで売ってるんですけど…。」
「えー!セクシーなのはうちのダーリンだけだよ!」
「僕かい…!」
少し先輩のRe:valeは、歳が兄と近くて
本当のお兄ちゃんみたいに可愛がってくれた。
自分たちの番組では私がいなくても
私をいじってくれたり…
新曲が出たり、LIVEがあるってなると
すぐに紹介してくれたり……。
こうして私とRe:valeの人気はグングンあがり
いつの間にか国民的アイドルとなっていた。
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