ある日の仕事
メディア露出の多くなったMEZZO"に
同行することの多くなった奏でも
一緒にスタジオに入ることが、毎回できるわけではなく、
今回も少し遅れてスタジオ入りになっていた。
「…しまった!すみません万理さん!私、MEZZO"の方に向かいます!」
「あ、もうこんな時間なのか!いいよ!早く行ってあげて!」
「すみません!」
生放送番組のスタジオには
本来始まる前に行くように心がけていた奏だが
今日は少し遅れてしまうな…と、申し訳なさそうな顔をしながら
セット裏に入り、小声で挨拶をした。
「すみません……小鳥遊プロダクションです…。」
「あ、小鳥遊さんとこ?もしかしてMEZZO"のマネージャーさん?」
「はい、そうですが……。」
「今から、MEZZO"の番なんだけど…一人いなくてさ。あそこのにいるのプロデューサーだから、あとで謝りに行ったほうがいいよ……。」
「プロデューサー……って、え…あのプロデューサーですか!?一人いないって…。」
「あの長身の子、今日来てないんだよ。」
「え?……環くん…!?どうして…。」
探しに向かおうとした奏の前に、例のプロデューサーがやってきた
「小鳥遊プロダクションの方だね?……ちょっといいかな?」
「は…はい…っ。」
奏が絞られている間も、壮五だけでなんとか生放送を終わらせた。
番組が終わったあとは、奏と壮五2人で
注意をうけた。
しばらくすると環がやっとスタジオに来たようで
頭を下げた時に横目でちらっと確認した奏は
ばれないように、笑いながらジェスチャーで環に
こっちに来るなと合図した。
「……誠に申し訳ございませんでした。今後は二度とこのようなことがないように厳しく注意して…。」
「当然だ!お前の代わりなんて、いくらでもいるんだからな!マネージャーもマネージャーだろ!何のためにいるんだよ!」
「申し訳ございません!」
「そんないい加減な態度だから、FSCからNG食らって、レギュラー降ろされるんだよ。」
「申し訳ございません…え?逢坂さん?」
「……え?降板…?」
「あんな大手企業に嫌われたら、これからやっていけないぞ!スポンサーには逆らえないんだから!」
「……そんな…。」
「逢坂さん…?逢坂さん!?……っ、プロデューサー、この度は申し訳ございませんでした。少々タレントの体調が優れないようですので、大変申し訳ございませんが、こちらで失礼いたします。」
「ふんっ!」
「……っ。」
壮五を連れて控室に向かう奏は、控室前の扉でウロウロする環を見つけた。
「環くん……。」
「あ…そーちゃん!かなな…!ごめん!本当にごめん!反省してます!ごめんなさい!」
「……。」
「壮五…?」
「そ……。」
壮五は奏の肩から手を離し、無言で控室に入った。
「……口きいてもらえなかった。」
「……大丈夫だよ、環くん。少しお咎めが長くて疲れちゃっただけだよ。」
その日の壮五は様子がおかしく、環とも奏とも話をしなかった。
奏が部屋のドアをノックしても反応はなかった。
「……話してくれればいいのに………。」
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