「奏さん、ちょっといいですか…?」
「一織くん…?どうしたの?」
事務作業中の奏を呼んだのは一織で
単刀直入に壮五についての事を聞いた。
「……逢坂さんとケンカされたそうですね。」
「っ!……環くんですか?…お恥ずかしい…。」
「珍しいですね、2人が喧嘩だなんて。何かありましたか?」
「……頼ってくれないのがつらくて、でも何か言いたげだったんで。話して!と……私がいけなかったんです。カッとして強く言い過ぎちゃったから、壮五も……。多分……いえ、嫌われました……。」
「そんなことないですよ。四葉さんが気にかけてるんです。2人の事。」
「環くん…。」
事務所に入ってきたのは紡だった。
「はぁー……2時間も怒られました……。」
「紡ちゃん!ごめんなさい!私が一番に電話取れればこんなことには!」
「大丈夫ですよ、それに昨日ずっとお咎めあったんですよね?だったら今日は私の日です!」
「…すみません。」
そこに勢いよく入ってきたのは陸だった。
「マネージャー!奏さん!」
「「は、はい!」」
「壮五さんが部屋で倒れてたんだ!早く救急車を…!」
「……!?わ、わかりました!すぐ呼びます!」
「………え。」
「……奏さん!?」
動きがなくなった奏の肩を、一織は名前を呼びながら
必死にゆすった。
「……一織くん…。壮五が…。」
「ええ、倒れたそうです…。どうなさいますか…?」
奏は大粒の涙を流しながら
壮五の部屋まで走った。
ついた頃には、壮五は救急車の中で
同乗者をだれにするかとバタバタしていた。
「…奏さん!」
「陸くん!壮五は!?」
「辛そうですけど……今から病院に…。」
「私がついてく!」
「……お願いします。」
「うん……。」
奏は、救命士の指示に従って生年月日等
壮五の情報を書き終わった後、ずっと壮五の手を握って
静かに涙を流した。
「……壮五、っごめんなさいっ……私が意地はりすぎた…ごめん…ごめんなさいっ…。」
病院に着いた壮五は診察をすぐ受けて、急性胃腸炎と診断された
壮五が点滴をして寝ている間、奏は紡に連絡をした。
「……紡ちゃん?奏です。」
『お疲れ様です。壮五さんどうですか?』
「急性胃腸炎だって……ストレスが原因じゃないかって…。」
『ストレス……すみません、私が負担をかけてること知ってたのについ甘えてしまって…。』
「紡ちゃんのせいじゃないよ……私が近くにいたのに……ちゃんとフォローできなかったからで…っ。」
紡の受話器越しから、環の「俺のせいだ」って声が聞こえてきた
「環くん…いるんですか?」
『はい…変わりましょうか?』
「…はい、お願いします。」
『……?かなな……?』
「うん、環くん。ごめんね、心配かけて。」
『かななも、そーちゃんも悪くない……。全部俺のせいだって…。』
「そんなことないよ。私が悪かったの……変な意地はって、壮五に負担かけて…負担減らすどころか……私がどんどん追い込んでたんだよ……。ごめんね。」
『かななっ!』
「昨日はびっくりしたよね?ごめんね……。壮五、入院はしなくてもいいみたいだから、点滴終わったら連れて帰るね?みんなにも伝えといてね。」
『……わかった…。』
「うん、じゃあ切るね?」
数時間すると、壮五の点滴は終わっていて
奏はタクシーを一台呼んだ。
「ごめん…奏……。僕…。」
「いいえ、私がいけなかったんです。ごめんなさい。ちょっと距離感を間違えてしまったみたいです……。」
「違う!僕が!……心配してくれてたのに奏にあんなひどい事言って……本当にごめん…仕事も…勝手に奏の仕事とるから…。」
「でもそれは、壮五のやさしさですよね?嬉しかったですよ、ありがとう。」
「…でも、こうやって倒れたら…意味ないよね。奏の負担を減らしたかったのに…。」
「それはお互いが思っていることですよ。壮五が無事ならいいんです…私は。」
「……奏、あの…。」
「話したくなったら話してください……。無理に聞こうとしてすみませんでした。私はずっと、壮五のそばにいますから、いつでも言ってくださいね?」
「……ありがとう、奏。……いや、話すよ。」
「はい……聞きますよ。」
寮に帰った壮五は、自室でゆっくり寝ることになった。
奏も、何かあってはいけないからと、そばにいることにした。
しばらくすると、みんな壮五の部屋にお見舞いに来たようだ。
「ごめんね、みんな……心配かけて…。」
「馬鹿野郎。いいんだよ、そんなことは。奏とは仲直りできたみたいだしな。」
「ええ。マネージャーもすみません、仕事に穴を開けてしまって…。」
「無理に仕事をねじ込んだ私が悪いんです!本当にすみません…!」
「それ言うなら、私もです……。壮五ごめんなさい。」
「…俺が、…迷惑ばっか、かけちまったから…。」
「……。」
「ごめん……。マジで……。本当にごめん……。」
「……。」
「環……。壮五さん、病み上がりだからさ。またゆっくり、話し合お。な?」
「壮五……。」
「うん……、いい機会だから、今、みんなに話すよ。」
「そーちゃん……。」
「場合によっては……。僕は辞めるかもしれない。」
奏以外、みんな驚いた。
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