「や、辞めるってMEZZO"を!?」

「……。」

「MEZZO"だけじゃない……。IDOLiSH7の方も、もしかしたら…。」

「そんな……。」

「…奏は知ってるんだな。」

「……はい。」

「……そんなに…。」

環は少し身体を震わせながら声を出した。

「…?どうした、環くん。」

「……そんなに嫌だったなら、言えばよかっただろ!?」

「……っ、わっ!」

環はベッドに体を起こしている壮五に
突っ掛かっていった。

「言えって言ったじゃんか!あんたもわかったって、言ってたじゃねーか!」

「四葉さん!止めてください!」

「病人相手につかみかかるな!」

「…っっ、辞めるとか、なんで、あんたは一人で全部決めちまうんだよ!」

「???環くんちょっとまって!」

「…っ、離してくれ!何の話だ!?」

「俺にムカついて辞めるんだろ!?」

「言ってないだろう、そんなこと!」

「他に理由ねえじゃんか!そーちゃん救急車乗って、そーちゃん病院に運ばれて、もう絶対、そーちゃんに迷惑かけねーよーにしようって!マジで反省してたのに……っ
…これで終わりなんて…。」

「「環くん…。」」

「……ソウ、タマもこう言ってるからさ…もう少し考え直してやってくれよ。」

「そうだよ!ガツンと殴ったらいいよ!仲直りしようぜ!」

「あ、いや…。」

「本当に反省してたんですよ。四葉さんなりに!」

「みんな…壮五の話を………。」

「イエス!合わせる顔ないって言ってました。」

「いや、そうじゃなくって……。確かに、環くんに困ることもあったんだけど…。」

「……他の理由があるんですか?」

「……うん…。その…。」

「……壮五?私から話しましょうか?」

「いや……僕が話すよ。レギュラーを、降板させられたって聞いたから。FSCの意向で…。」

「はい、それが何か……。」

「…降板は、僕のせいだ。僕の父親は逢坂壮志…。FSC……。ファイブスターカンパニーグループの社長なんだ。」

「FSCグループの会長さんが、壮五さんのお父さん…?」

「マジか…。いいとこの出だとは思ってたけど、まさかそこまでとは……。奏も知らなかったのか?」

「はい……FSCと兆の付き合いは少しありましたが…逢坂ってことは知りませんでした。」

「逆にソウは?」

「珍しい名前だとは思ってましたけど……まさか兆財閥…APCだとは…。」

「なあ、ヤマさん、APCって?」

「オースピスカンパニー、略してAPC。」

「なるほど…。」

「2人ともすげえ金持ちカップルかよ!……でもなんで壮五の家の事が降板の理由なんだ?父ちゃんなら応援してくれるだろ?」

「……事情があって、音楽活動は反対されていたんです。僕も会社を継ぐつもりでいた。だけど、心のどこかで、どうしても音楽を捨てきれなくて…。その時、社長にスカウトされたんだ。両親に相談したけれど、当然、猛反対されて…。」

「奏の家とは真逆だな…。」

「……成功するわけがない。成功したとしても、続けさせるものかって。……でも、諦めきれなかった。それで、僕は大学を辞めて、この事務所に入ったんだ。その時に勘当されているから、親子の縁は、もう切れているんだけどね。」

「…じゃあ、家族を捨てたって…。」

「うん…。そういうことなんだ…。」

「……なんで音楽やりたかったんだ?」

「…僕の叔父が、ミュージシャンだったんだ。あまり売れてなかったけれど、楽しそうにバンドの話をしてくれた。僕に歌を教えてくれたり…。叔父も、叔父の音楽も好きだった。だけど、叔父も音楽活動を反対されていて、親族からも疎遠にされて……体を壊して、亡くなってしまった。」

「……そうだったのか。」

「…叔父のお葬式で、みんなが「ほら、やっぱり」って言っているのが、とてもつらかった。ほらやっぱり、音楽なんて、保証のないものに夢中になったからこうなった。おかしな夢を追いかけないで、堅実に生きていれば幸せだった。だけど、僕は……。」

「……そんなことないって、言いたかった?」

「うん……。うん、そうなんだ…。そんなことはない。叔父は幸せだった。素敵な人生を送っていた。大声でみんなにそういいたくて…この世界に飛び込んだんだ。」

少し、涙の混じる声の壮五に
奏は背中に手を当てながら
「ちゃんと言えたね…。」
と微笑んだ。

「……そっか。あんた、やっと、自分の事話してくれた。」

「……辛気臭い話だから、聞きたくないかなと思って…。」

「ノー!感動しました。オジさんも、ソウゴも間違っていません。オジさんの気持ち、ソウゴ受け継いでます。心あたたまる、優しいストーリーです。」

「ナギくん…ありがとう。…だけど、僕がここにいる限り、同じようなことが起きるかもしれない。」

どうやらグループ会社はいくつもあるようで
テレビ、ネット、新聞、雑誌と多くのスポンサーになっているようだった。

「スポンサーの一声で降板させられてしまうようなら、僕は……。」

「大丈夫だって!父ちゃんの力が及ばないくらい、俺たちが人気者になればいいんだ!伝説のアイドルゼロみたいに!ゼロのコンサートを中止させることなんて、きっと総理大臣も、大統領にも……地球上の誰にもできなかった。そのくらいスターになればいい!」

「そうですよ。私の読みでは、レギュラー番組のオファーはこれからも後を絶ちません。すべて対応するのはFSCでも難しいでしょう。……最悪、兆財閥があります。」

「ちょっと、私も家出中なんですけど!!!!!」

「三月さん…一織くん……。」

みんなの励ましに、少しずつ壮五の顔も上がってきた

「僕は、ここにいてもいいのかな…?」

「聞かれなくてもわかれっつの。」

「大和さん…。」

「ソウ、今日はゆっくり休め。明日からまた、一緒に頑張ろうぜ。」

「……ありがとう、みんな……。」

「ほら、言ったじゃないですか。みんな壮五の味方だって…。」

「……そうだね奏…。」

「一人じゃないです……だから、頼ってください。私は壮五が私を必要とする限り…ずっと傍にいますから……。」

「言えてよかったよ……、ありがとう奏……。」

「見せつけられてるし、お兄さん退散すっかなー?」

「そうですね……。」

「え!?みんなどこいくの!?」

「いいから七瀬さん行きますよ!」

そう言って奏を残したメンバーと紡は
そそくさと部屋から出て行った。

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