壮五と奏をゆっくりさせようと
6人は外食をすることにした。
駅前を歩きながら話すのは
壮五の事だった。
「…まさかFSCの御曹司とはなー。」
「CMよく見ますよね…。」
「CMの数だけ、逢坂さんのお父さんの影響を受ける番組があるということですよね……。どれだけ広報戦略を練っても、背後で大企業が動けば、もぐらのように叩かれてしまう……。」
「……頑張ろ。やってこーよ。俺、やっと、そーちゃんと本物のコンビになれた気がする。きっとかななもそう思ってると思う。」
「そうだな!壮五も胃に穴開けた甲斐があるな。」
「SOS聞けて良かったです。」
6人は新たに意気込んだ。
「そういえば、次の収録……生放送ライブ『サウンドシップ』のアーティストリスト、確認しましたか?TRIGGERと共演予定ですよ。」
…………寮でも同じ話をする2人がいた
「壮五、次の収録…生放送ですけど『サウンドシップ』。TRIGGERのみなさんと一緒ですよ。」
「……ミュージックフェスタ以来だ…。」
「そうですね、陸くんのお兄さんもいらっしゃるんですね。情報が遅くてお恥ずかしい……。」
「北欧にいたんだからしかたないよ。」
「そうですけど、お仕事の事なのに……はい、りんご剥けましたよ。」
「ありがとう……。じゃあ、TRIGGERの曲を聞いたこともライブを見たこともないの?」
「う、うん……。」
「せっかくだし見ようか。僕の好きなもの……もっと知ってほしい。」
「次はもう、隠し事なしですよ?」
「奏もね?」
「は、はい…すみません……。」
「あった、これだよ。デッキに入れてもらってもいい?」
「はい!……ん?元から何か入ってますけど…これ…。」
「何か見てたかな?…あ!」
「……壮五、これ……。」
「あ、え、…えっと…。」
「テウですよね?これ…見覚えあるディスクなんですけど…。」
「あはは……昨日、ケンカして奏の顔見るのが気まずくて…それでも見たかったから、つい……。」
「……はぁ、壮五…?」
奏はディスクを人差し指に刺して
壮五のいるベッドまでつかつかと歩いて行った。
「私とテウ…どっちが好きなんですか?」
「そりゃあ決まってるだろ……。奏だよ。」
「なら許す。」
「君って人は……。どちらも奏じゃないか。イエスかイエスみたいな選択肢だよ。」
「……でもテウはみんなのものですけど、私は壮五だけのものです。」
「君にはかなわないな……。」
奏はパッケージにディスクを直し
こっそりと、テウのサインを書いた。
「……よしっ。じゃあTRIGGER見ましょうか!誰がおすすめですか?」
「んー?TRIGGERに浮気するの?」
「もー!意地悪なしで!」
「あはははは!」
仲直りした2人はいつも通りの笑顔で
穏やかに過ごした。
相変わらずの過密スケジュール
社用車が1台しかない小鳥遊プロダクションの優先順位は
MEZZO"のため、他の2人以外のメンバーは
電車移動が主だった。
「なー、かなな。次どこいくのー?」
「事務所ですよ!その前に……駅前にみなさんをお迎えに行きますね。最近皆さんの人気がすごいので…電車移動も難しくなってきてますね……。」
「社用車1台ってのも厳しいね……。」
「ですよね……そろそろ私も車を買おうかと悩んでます……。ブラックカードで行けますかね?」
「そーちゃん、ブラックカードって何?」
「自家用ジェットも買えるくらいの魔法のカードだけど……奏持ってるの…?」
「毎年勝手に届きます……。」
「一度実家に帰ってみたら…?」
「そうします……。」
「え、そのカードあったら王様プリン何個買えんの!?」
「多分、王様プリンの工場ごと買えるよ。」
「すっげー………。」
「それに、この調子だとJIMAも夢ではなさそうですね。」
「ん?かななー…じゃいまって何?」
「ジャパンアイドルミュージックアワードの事で、略してJIMA。」
「CDの売上数によって厳正に決められる、日本のアイドルにとって最も権威ある音楽賞だよ。新人賞を獲得すれば、さらに、大晦日に行われる『ブラックオアホワイトミュージックファンタジア』にノミネートされるんだ。」
「そーちゃん詳しいな……。」
「この業界にいるんだから、さすがに知ってるし、有名だよ……。」
「年末のブラックホワイトって、各音楽部門ごとに、前年の勝者とその年の新人がステージバトルするんだよ。」
「へー!かななも出たことあんの?」
「環くん恐れ多いよ!テウは女性アイドル部門の伝説だよ!?」
「こらー、壮五ー。熱量押さえてー。」
「んじゃあさ、もし俺たちが出たらだれと当たるの?」
「「TRIGGERだよ。」」
「んじゃあさ、みんなでがんばろ、じゃいまとかいうやつ!」
「ふふ、そうだね、環くん。」
「あ、りっくんたちだ!おーい!!!」
駅前のロータリーに車を横付けすると
みんな一斉に車に乗り込んできて
何やら興奮気味に話し始めた。
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