「ふふ、みんな元気ですね。」
「だろ?お兄さん達大変でさ…。今日はこうやって社長がごちそうしてくれっからいいけど、いつもは当番制で夕飯用意してたりすんだけどさぁ。」
「好き嫌いがあったりして、献立も大変なんだよー!」
「そうだ!奏さんは呑む人かな?せっかくだし、どう??」
缶チューハイをお酌しようと壮五は奏に笑いかけた。
「あ、いや!私呑むと大変なんで…よかったら壮五さんどうぞ!」
「「あー!!!」」
「へ?」
「いや!ソウはもうやめとけ!」
「それこそ大変なことになる!少しのんでんだから!」
「あっははは…ごめんね奏さん。」
「大変なこと…少し気になるけど……では三月さんと大和さんどうぞ!」
「おっ!いいね!美人にお酌してもらえるなら、今日からお兄さんまっすぐ寮に帰ってこれそう。」
「おっさん…そうじゃなくても帰って来いよ。」
「じゃあ、僕らは呑めない代わりにおしゃべりしよう!同い年だし。」
「そうですね!……壮五さんは音楽が好きなんですか???」
「好きだよ!ジャンルとしてはクラッシックからロック、ジャスまでなんでも。」
「そうなんですね!好きなアーティストさんとかは?」
「ダグラス!あとはTRIGGERも好きだよ!あとは……。」
「あとは?」
「知ってるかな…?もう引退したアーティストなんだけど…。」
「ゼロ??すごかったよね!」
「いや、ゼロももちろんそうだけど……テウっていう伝説の歌姫。」
「テウ……。」
「きっと世代だと思うんだけど、3年しか活動しなかったんだ。大人びたメイクと髪型、衣装は同世代とは思わせなくて、高いヒールでかっこよく踊ってて…少し憧れたんだ。父からは『尻軽そうな奴なんか見るな』って叱られたけど…僕の目にはそうは映らなかったよ。精一杯自分のやりたいことをやっているように見えて…。メイクも衣装もきっとテウ本人の自信の源のような感じでキラキラ輝いていたんだ…。」
「そうなんだ……。今はどうしてるのかな?」
「目撃情報もなくて…一説では死去だとか、見た目から誤解を生んでるのかもしれないけど……下世話な話でごめんね?……ソープやデリヘル嬢になったんだとか…僕はそう思わないけどね!」
「………メディアって怖いね。」
「え?」
「売れてるときは、よいしょよいしょして…そうではなくなった瞬間、叩き落す…私は、みんなの事そうはさせないよ。全力で守って…キラキラ輝き続けさせてあげる。」
「奏さん…。」
「いいですよ奏で!同い年ですし!」
「じゃあ、奏も僕の事…壮五って呼んで?」
「とっ…時が来たらっ…!!」
「ふふっ、かわいいな…照れてるんだ。」
「てってて!照れては!!!!」
「そーちゃーん!こっちのテーブルまだいくらある!?なかったらトビコでもカズノコでもいーんだけど…って、なんでかなな、顔真っ赤なの?」
「なっ!何でもないですよ環くん!はい!いくらいくら!」
「おーサンキュー!…みんなー!いくらあったー!!!」
環はそう言って、元気よく自分の席に帰っていった。
「あのー…よい雰囲気の中大変申し訳ないんだけどさ…。ソウ…醤油取ってくんね?」
「へ?…あ、あああ!すみません大和さん!」
「にしても…壮五の口からまさかテウが出てくるとは思わなかったな…。」
「三月さんもご存じなんですか??」
「知らないやつのほうが珍しいだろ!でもなんで引退したんだろうな…歌が嫌いになったとか…。」
「そんなわけないじゃないですか!」
「へ?奏ちゃん??」
「あ、すみません三月さん……一瞬テウが乗り移って…へへ…。」
「乗り移ったって…まさか、死去が一番の有力か!?」
「やめてください大和さん!もし本当の幽霊なら、環くんが怖がって寝れなくなってしまいます!」
「でも…たまに思うんですよね…本当に歌うことが好きな人が、歌うことを嫌いになる瞬間…何が見えて何がなくなるのか…。」
それがわかれば苦しくないのかな…とぽそっと奏は呟いた。
「奏…?」
「やだ、私ったら!大和さん、お酒のおかわりどうですか!?三月さんも!」
「おー!サンキュー!」
「あー、あと三月さん!よかったら明日から高校生2人のお弁当と朝ごはん、私作りますよ!毎日大変ですよね!夕飯のお当番にも入れてください!作りますよ!」
「え、いーのか!?そうだったら助かる!」
「はい!任せてください!」
「オーケー!作れなかった時はお互いでカバーしようぜ!」
「はい!」
「ほー!お兄さん益々、寮に帰ってくるのが楽しみになってきたな。美人がいるだけでなくて料理もしてくれるってんだからな!」
「下心しまえよ!おっさん!」
だいぶ、いい時間になってきたので片づけをしてみんなお開きの準備をし始めた。
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