「とうとうサウンドシップ……。」
「七瀬さん、プレッシャーをかけているわけではありませんが、ベストで歌ってくださいね。」
「充分プレッシャーなんだけど……。」
その光景を見た奏は笑いながら
「では、打ち合わせに、紡と行ってきますね?」と伝え
その場を離れた。
「みなさんいい空気ですね。」
「そうですね!今日のお客さんの半数以上はTRIGGERのファンでしょうが……。」
「やはりそうなんですね……みなさん大丈夫でしょうか?」
「紡ちゃん、どうして?」
「あー、はい……奏さんがこちらに帰ってこられたときに私が謝罪に行ったのがTRIGGERの関係で……。」
紡はTRIGGERのライブ帰りの件を話した。
「あー…そんなことがあったんですね。でも大丈夫ですよ!100人お客さんがいて全員TRIGGERのファンってわけじゃないですから!」
「……それもそうですね!」
打ち合わせの終わった2人は控室に7人を呼びに行き
ステージ袖で待機をした。
「うわあ……見事にTRIGGERのファンばっかだな。」
「TRIGGERのファンには、私たちの事を嫌いな人が多いんですよね。」
「まあ、そう言ったって、俺たちの番で全員親指下げたりしないだろ。」
「ブーイング怖いです……。」
紡の準備をお願いする合図にみんな動き出した。
「みなさん、頑張ってください!」
「奏…ありがとう!」
「はいっ!」
7人は順番に奏とハイタッチをして
準備に向かった。
ついに番組は始まったが……TRIGGERがステージ上にいなかった…。
気になった奏は、周りにいた番組スタッフに声をかけた
「あのー…すみません、TRIGGERさんがみえないんですけど……どうかされましたか?」
「あー…いえ、その……。」
「??」
「上層部と事務所がもめてしまったみたいで……。」
「……出演されないってことですか?」
「……の、ようですね…。」
「……そこでなんですけどね、小鳥遊プロさん。」
「はい?」
「じつは他のアーティストにトリをお願いできないか打診してるんですけど……。」
「やりたくないですよね、普通に考えて。」
そこに走ってきたのは紡だった。
「奏さん!…あ、お話中でしたか?」
「あ、いえ大丈夫ですよ?どうしました?」
「実は…TRIGGERの代わりにトリを務めれないか…と声がかかりまして…。」
「あぁ、そちらにも声がかかってるんですね……。」
すみません、席外しますと話していたスタッフに頭を下げた奏は
紡と話をしていたスタッフの元に向かった。
「すみません、おまたせしました…。奏さん、私としては危険を犯してまで皆さんを傷つけることはしたくないんですが…。」
「……じゃあみんなに聞いてみましょう!どうかな?」
奏が後ろを振り向くと7人は笑っていた。
「やりましょうよ!」
「陸さん!?」
「困ったときはお互い様です!お客さんの落胆の空気は一度ミューフェスで体験したし…。」
「あの時の比じゃないですよ!?お客さんの期待を裏切るんですから。下手したらブーイングだって……。奏さんも何か言ってください!」
「ブーイングが怖くないアイドルなんて、この世にいませんよ。紡ちゃん。」
「奏さん……。」
「大丈夫だよ、マネージャー。マネージャーたちのおかげで、俺たちは丈夫に育ってるから。」
「陸さん……。」
スタッフは喜んで頭を下げた
「ありがとうございます!トリの曲、どの曲でいきますか?」
「TRIGGERの曲を待ってる人たちに、俺たちの歌を聞かせるのは申し訳ないです。せめて、TRIGGERの曲を歌いましょう。」
「え!?」
「陸さん!?」
「いいね!陸くん!」
「えへへ!奏さん!ありがとうございます!…だって俺たち、あの曲歌えるんだもん。」
まさかの事態に紡はそわそわしていた。
「奏さん!なんでノーって言わなかったんですか!」
「タレントを信じるのも、マネージャーの務めですよ。彼らのポテンシャルの高さは私たちが一番よく知ってます。」
「ですが…TRIGGERの曲を歌うまで……。」
「歌は人と心を繋ぎます…大丈夫ですよ!」
「奏さん……。」
「経験者が言うんです!………信じてください。」
「………はいっ!」
NATSU☆しようぜ!のイントロがかかり、歓声に包まれた後
ものの数秒でブーイングにかわった。
すると、ステージ袖にいる2人にも届く
環の「うっせえな!」
が聞こえた。
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