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これは僕がまだ高校時代の話……。

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「おい逢坂ー!……っと!一緒に文化祭まわろうぜ!」

「あ、うん…いいよ。」

僕に声をかけてくれたのは2人の友達。

「今日は年に数回しかない!うちの学校に女子が入れる日だからな!」

「出会い!出会い!」

「あはは…2人とも元気だね…。」

そう、僕の高校は男子校で
行事ごとがないと一般の人や他校生には開放しない。

今日は文化祭
確かに彼ら2人が張り切るのもわからないこともない。

どこからか小さな声で「きゃー…」という
日常聞きなれない女子の声も耳に入る。

「逢坂と歩いてると女子の注目浴びまくりだからさ。」

「そんな理由で僕と仲良くしてるなら僕は帰るよ。第一、注目なんかされてないよ。」

「お前が気づいてねえだけだよ……。人生勝ち組だよな。イケメンで頭良くて実家はFSCだもんな。」

「………勝ち組なわけ、ないだろ……。」

自分の好きな事もさせてくれないような親
自由に恋愛もさせてはくれない
どうやら僕には許嫁とやらがいるらしいから……。

ああ、逢坂の姓なんて捨ててしまえればいいのに……。

「…おい!あそこ見ろ!めっちゃかわいい子いる!手振ろ!」

「どこー…。マジか……天使だ…。おい!逢坂!だまされたと思ってみてみろ!」

「何だよ2人とも……。」

2人が必死に指をさすも、どうやらその子は後ろを向いてしまったらしい。

「あの手を振ってる2人の子じゃなくて?」

「その後ろの子!ちょっと小柄な!目が大きくて!優しそうな!」

「好きな食べ物いちごって言ってほしい…。」

「2人とも、もう少し語彙力上げてくれないか?まったく伝わらない…。」

確かに後ろ姿だけ見ると
清楚でかわいらしい感じ……。

「あー…でも、逢坂ってさ、テウが好みなんだっけ?」

「じゃあ真逆だな……ギャルギャルしくねえから。」

「僕は別にギャルが好きなんじゃないよ……。テウが今の売り出し方じゃなくても好きだったよ。」

「「へー。むっつりかと思ってたのに。」」

「なんてことを!!!!」

全く……と2人から顔を外すと
先ほどまで背中を向けていた彼女がこちらを見ていて……僕らは星が飛ぶんじゃないかってくらい目が合った。

「……っ//////」

顔を真っ赤にしたその子は
素早く顔を隠してしまった。

「………かわいい子だな。」

「お!?逢坂!さっきの子見れた!?」

「……うん、目が合ったよ。すっごく可愛い子……。」

ああ、僕に勇気があったら声がかけられたかな…?

いいなぁ…って少し思ったのは思春期のせいだと言い聞かせた……。


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これはまだ私が、高校生の時の話…。

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「ねー!行こうよ!奏!」

「どこに…?」

「「男子校の文化祭!」」

「えー……わざわざ行かなくても、うち共学じゃん……。」

「そーだけど、飽きたじゃん、ラインナップ。」

「ラインナップって……。」

2人とも、テウは男遊び激しくて嫌いだったんじゃないの???
いい勝負だよそれ……。

そもそもテウ……私は、男のおの字も知らない……。
あの…お兄ちゃんとか!お父さんは知ってます!
そのレベルってことで……察してくださぃ……。

横からずっと
行こう!行こう!と誘ってくるもんだから
こっそりマネージャーにメールをして予定を見てもらう。

あぁ…断る理由は私にはないようです……。

「「おおおお!男子校ー!!!!」」

「もー…2人ともやめてよ、みっともない…。」

2人とも、一応お嬢様…よね?
1人は宝石商のご令嬢
1人は華道のお家元

やめて……恥ずかしい…礼儀はどこに行った…。


はぐれないように
1人きょろきょろとしていた私の首根っこを
何故か2人で掴まれてしまった。

何だよ!

「ちょっと!痛い痛い!!!!」

「「奏!!!イケメン発見!!!」」

「えぇ?どんな…。」

「なんかこう、ふわっとしてて!」

「大きな目なんだけど、すこしつり目で!」

「体のラインが柔らかい感じで!」

「程よい身長!」

「「何より漂う妖艶さ!」」

「はい…?」

ちょいちょい突っ込みたいことはたくさんあったけど
あまりに見ろ見ろ言うから
どこー?と言いながら
きょろきょろすると

そっちじゃない!こっち!
手振ってる男子の後ろ!

と、無理やり方向転換させられた。


「……っ//////」

目が合ってしまった!絶対あの人だ!

確かに、何だろ…かっこいい…
共演してきた俳優さんやアイドルに負けないくらい…

誠実そうで、優しそうで……
ふふっと微笑んだ彼には
包容力があるように感じた……

あぁ…、あんな人と付き合えたらな…
アイドルだって、恋愛しても

いいじゃない……。

大好きな仕事が一瞬嫌いになった。


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「…っ、あはははは!奏も似たような経験があるんだ!」

「笑いすぎです!!!!……でもよかった…その時の壮五に勇気がなくて。」

「え?」

「声をかけていたら……。もしかしたら私と会えていなかったかもしれないじゃないですか!」

「そんなことないよ……。」

2人で腰かけているソファーに
優しく奏を押し倒した僕は
何を積極的になってるのか……

親指で奏の唇をなぞった。

「どこに奏がいても…たとえ、海底でも、宇宙でも……必ず見つけ出す。僕はもう…奏しか選べないんだ。」

「ばか…。」

優しく微笑んでくれた奏を見て
僕は優しくキスをした。

もしかしたら…
もしかしたらだよ?

きっとあの時から…僕らは出会う運命だったんじゃないかな?

確信はなかったけど
あの時目が合って、
顔を赤くした小柄な女の子は

奏なんじゃないかな…?

*5*


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