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―4月23日―

夕食時になり、心が談話室に向かおうとすると
幸と椋が部屋の前で待機していた。

「どわっせい!……幸ちゃんも椋ちゃんもどうしたの!?」

「可愛くない驚き方しないでよね。」

「ちょっと一緒について来てくれませんか??」

「ん?どこに?」

「いいから来る!」

幸は心の腕を引っ張って
201号室に連れて行った。

「…おじゃましまー?」

「早く入って!準備あるんだから。」

「準備???」

「とりあえず、これ着て。」

「……これ何!?ウエディングドレス!?」

「僕と幸くんと、太一くんと十ちゃんで作りました!」

目の前には、綺麗な薄桜色のドレスが
あった。

「ティアラは銭ゲバヤクザから。はい、早く着て。」

「この装飾は密さんと紬さんが作ってくれたんですよー!」

「え、なんで……っ?」

「今日誕生日でしょ?おめでとう。」

「おめでとうございます!心さんっ!」

目にたくさんの涙を溜めた心に
「まだ泣くの早いんだけど……。」と、幸は呆れながら
涙を拭いた。

「ドレス汚したら許さないから。はい、談話室いくよー。」

二階から降りる心のドレスの裾を
幸を椋はふわっと持ち上げた。

ちょうど階段を降り切ったところには
スーツ姿の至がいた。

「お、お兄!?なんで?」

「うん、きれい。さすが俺の妹。」

「ちょ……状況は把握できない……。」

「いいから、はい腕もって?」

「へぇ……。」

談話室のドアを開ける天馬は笑いながら
「いいじゃん!」と心に話した。

「天馬、ドアボーイみたい。」

「そういう役だからな。」

「……っ!なにこれ……。」

「「「「「ハッピーバースデー!心!!!!」」」」」

沢山のクラッカーが鳴る談話室は
綺麗に飾りつけられていた。

「ぇ……。」

「ほら、ちょっと短いけど俺と5歩くらい歩いて。」

「う、うん……。」

至と腕を組んで歩くと
すぐそこには
タキシード姿の万里が待っていた。

「よぉ。綺麗じゃねぇか。」

「ば、万里さんも……。」

「……んじゃ万里、あとは頼んだ。」

「りょーかいっ!」

いくぞ、と言いながら
万里は腕を組むように合図した。

少し照れながら腕を組み、歩き進むと
牧師役なのか、誉が
「うむ!」といいながら本を開いた。

「まぁ、今日はウェディングではないのでね!小難しいことは言わないようにしよう。万里くん。病めるときも健やかなるときも、彼女のそばにいるかね?」

「あたりめぇだ。」

「よろしい。では、お祝いの言葉を……。」

「誕生日おめでとう、心。これ……。」

「ちょっ!?えっ!?」

「ちゃんとオーダーメイドなんだから受け取れよ!?」

万里の手には小さな小箱
中にはかわいらしい指輪が入っていた。

「ちゃんとしたのは……もっと先だろうけど、ちゃんと渡すから……。」

「っ……万里さんっ……!」

幸せそうにぎゅっと抱き着く心を見て
万里も笑いながら
「生まれてきてくれてありがとう……。」と伝えた。

「ほーらほら!ケーキだぞー!」

臣がテーブルに大きなケーキを用意した。

「うわぁーおっきいケーキ!おみが作ったの!?」

「いや、これは万里と2人で…な?」

「うまいっしょ!?2段ケーキ。」

チョコのプレートには
「心 誕生日おめでとう」
と綺麗な字で書かれていた。

食事も、これでもかというくらい準備されていた。

「みんな…これだけのもの…どうやって……。」

「ん?それは……。」

――――
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「……なぁ、臣。ちょっと教えてくんね?」

「ん?どうしたんだ万里?」

「いーから、いーから!」

万里はソファーから立ち上がり
キッチンに向かって歩いた。

「どうした万里?」

「ケーキ作ろうと思って…心だけの。プレゼントは用意してたんだよ、オーダーメイドで。」

「へぇー、万里は何を準備してたの?」

東が聞くと、少し恥ずかしそうに「リング……。」と答えた。

「へぇ、リングにケーキに、まるでウェディングみたいだね、ふふっ。」

「……それいいじゃないですか!お誕生日どっきり!ウェディングバージョンです!」

「は?咲也なに言ってんだ!?」

台本を読んでいた天馬も驚いて顔を上げた。

「そいつは面白いな……。よし、佐久間の案を採用して団員全員と監督さんでサプライズするか。」

左京は全員を談話室に呼ぶように咲也に指示をした。

衣装係は
幸、椋、太一、十座

小物係は
紬、密、左京

ケーキ係は
臣、万里

料理係は
いづみ、綴、真澄

ドアボーイに
天馬

部屋の飾りつけに
シトロン、三角、東、丞

神父っぽい役に


とみんな役割を分けて働いた。

――――
――――
――――

「……カズくんは??」

「オレは、はいっ!これっ!」

一成が出したのは
手書きもできるフォトブックだった。

「え!?これ作ったの!?」

「そそ!写真は今からどんどん撮るから、それいれてくよん☆んで、最後のページ……はいっ!」

そこには「恋人証明書」と書かれたページがあった。

「ここにセッツァーとここぴの名前、入れたら完成っ!どう?可愛いっしょ!?」

「一成おまえ……すげぇ事考えんな……。」

「たまたまインステ映えの特集で見たから、マネしただけなんだけどね!」

「んじゃ、書き入れるか……。ほい。」

綺麗な字で書かれた万里の名前の横に
少し恥ずかしそうに心も名前を書き入れた。

「えへへ……。何この誕生日……っ。全然誕生日感ないんだけどっ……。ぐすっ。」

「おい、泣くなよ!!!」

「嬉しい……っ、こんな誕生日他にはないよね……っ、ありがとうっ!」

何度も、ありがとうと言う心を見て
太一は一緒になって
「心チャンありがとううおおおおおあああああ!」と
泣き始めた。

「お兄っ…!」

「何?」

「ありがとう……。」

「…やべっ、なんか俺も泣きそうなんだけど……。」

「本当の嫁入りみたいだな、茅ヶ崎……。」

左京は至の肩に手をポンと乗せて
話しかけた。

大きなケーキに
2人でナイフを入れ

みんなでご飯を食べて

心にとっての忘れられない
誕生日になったようだった。

少しバルコニーへ出た心を追っていったのは
万里だった。

「……夜風が気持ちいいね。」

「だな。談話室の人口密度半端ねぇからな……。」

「……ありがとう。」

「んー?別に俺だけじゃねぇよ。」

「うん……。やっと私さ、誕生日の意味が分かったよ。」

「どうした、急に?」

「お祝いしてくれる人は『生まれてきてくれてありがとう』って言ってくれるけど…そう言ってくれる人に私は支えられて生きてるんだなって……。今日という日はお祝いされる日じゃなくて……お世話になっている人に感謝を伝える日なんだなって……。」

「心……。」

「だからね、万里さん……。いつもありがとう。」

「……おう。」

「誕生日って…嬉しい日だね。」

「だな。」

自分の右薬指にはめられた指輪を見て
心は嬉しそうに、ずっと笑っていた。

「………心っ!」

「万里さ……っ、」

何度か角度を変えながら重ねたキスで
2人はまた顔を熱らせた。




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