01 ツッタッタッタッタッタッタ………
バンッ!!!!
「心チャンも万チャンも助けてッス!!!」
「「うぉ!!!」」
走ってきて、勢いよく心の部屋のドアを開けたのは
太一だった。
「つーかノックぐらいしろや!心の部屋だぞ!」
「十座サンがノックしたら万チャンに怒られるって言ってたッス。」
「あいつはドア殴るからだ!!……で、なんだよ。」
「宿題が…終わらないッス……。」
「はぁ?んなの紬さんとか千景さんに聞けば……。」
「千景さん今日いないよ。お兄と一緒に会社の人と飲みに行くって言ってたし。」
「そうなんっすよー…!臣クンはサークルの集まりだし、紬サンも冬組メンバーで飲みに出てるし…。」
「あー……んじゃ左京さんとか?」
「左京にぃも今夜は銀泉会に泊まるッス…。」
「「………。」」
まじか…という表情をした心と万里は
綴を提案したが、どうも脚本作成で
籠りっぱなしらしい。
「そりゃ声かけられねぇな…。」
「カズくんは?めっちゃ教え方上手だと思うけど……。」
「それは今、天チャンに獲られちゃったッス…。」
「獲られたって……。」
「狩りかよ…。」
「談話室に十座サンと俺ッチが余ってるッス…天チャンだけずるいッス……。」
可哀そうになった心は、ペンケースを持って席を立った。
「おい!心行くのかよ!」
「仕方ないでしょ……。太一くんも十座さんもかわいそうだし…。」
「そりゃ確かに可哀そうな頭だけどよぉ…。」
「万チャンひどいッス!!!」
「じゃあ2人に教えてくるから待っててよ、万里さんは。」
「はぁ?んなの俺が許さねぇ。俺も行く。」
意味の解らない持論で動いた万里も部屋から自分のペンケースを持ち出し、談話室に向かった。
「んお?万里さんと心か?」
「おつぴこちゃーん☆」
「天馬くんはもうそろそろ終わるの?」
「ああ、一成がいて助かった。」
「もー!テンテンももっとオレに頼ってん☆」
「きょ、今日だけだ!」
「えぇー!」
隣の席では十座がプリントと睨めっこしていた。
「…あぁ、摂津か……。」
「……はぁ、このクソ大根。宿題ぐれぇテメェでやれや!」
「難題なんだ。助けてくれねぇか…摂津。」
「………ったく。」
「じゃあ、心チャンは俺っちに教えて欲しいッス!」
「いいよ。…どれどれ……。」
そこには
『くだもののお名前わかるかな?【英語で書こう!】』と書かれたプリントが1枚あった。
「……太一くんまって。」
「待たないッス!」
「これ、小学生用じゃ…。」
「そんな事ないッス!ちゃんと今日出されたッス!」
「えぇー……。」
(O高えぇー……。)
とりあえず見ると、なんとかわかるところは書いているようだった。
「これはりんごっす!『APPURU』ッス!」
「それローマ字…。ラテン語でもそんな書き方しないわ……。『Apple』ね。」
「『U』はどこに行っちゃったッスか!?『E』はどこから来たんっすか!?」
「はぁ?発音がU入らないしE入るの。」
「わかんないッスー!」
「じゃあもう、そういうものって覚えて!」
「はいッス!」
「んじゃ次ね……。みかんか……。これねmikanでいいよ
。」
「えぇ!?そうなんッスか!?」
「基本的に通じるし、これで×だったら私が抗議する。そもそもこの絵でみかんは?とか言われてもどこの地方のみかんだよってなるし。中国系ならマンダリンだし南アフリカとかならタンジェリンだし。」
「……よくわかんないッスけど。一応全部書いとくッス。」
「それが一番だね。」
一方の十座、万里チームは……。
「だっからテメェ何回言ったらわかんだよ!!!!」
「あぁ?わかるように言え。」
「言ってんだろーが!!!」
「…はっ!こうか!?」
「だぁかぁらぁああ!!!!」
喧嘩の絶えない2人は言い争いをしながらも
着実に宿題を終わらせているようだった。
「じゅ、十座サンも万チャンも元気ッスね……。」
「そうだね……。こっちもさっさと終わらせようね…。」
「ッス……。」
次の問題は「すいか」だった。
「はぁ?異議ありー!スイカは果物じゃありませーん。野菜でーす。」
「まじッスか!?」
「そうよ!次のイチゴも野菜!木に成ってないから果実的野菜っていうカテゴリーだよ。」
とりあえず、スペルはこれね。と言いながら
心は自分のメモ帳に書いた。
「watermelonって言うんッスね!なんかかっこいい!」
「かっこいいか…?」
「…ん?じゃあ素朴な質問なんっすけど、レモンは果物っすか?」
「一応柑橘系だし、木本類で果物なんじゃないかと私は思うけど……。」
「なるほどッス……。詳しいッスね!」
「そうかな?たまたま本で読んだだけだよ。」
「たまたま読んで覚えてるのがすごいッス……。」
「もうちょいだから頑張ろ?えぇーっと……柿!?小学生用教材で柿!?」
「だから小学生じゃないッスー!!!」
「Persimmon.だよ。」
「パ?え?なんて???」
「Persimmon.」
「カタカナ英語でお願いするッス……。」
「パーシモンかな?」
「ほぉえぇー……心チャンすごいッスねぇー……。」
「習ったじゃん。」
「習ってないッス!!!」
「じゃあ今教えた。」
「うぅううー……。」
「英語言えるとモテるよー?」
「頑張るッス!」
「ちょろいな。」
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