「すみません、横浜九十九課の
ボーイは私達を店内へ案内した。すると、すぐに店長が出迎えてくれた。
「おや?杉浦様ではないんですね」
「ああ、彼はちょっと用事がありまして。八神探偵事務所の
「それはそれはご足労を。店長の
「苗字名前と申します。よ、よろしくお願い致します」
私の緊張が見て取れたのか、長谷川さんはにこやかにこう言った。
「そんなに緊張されなくても大丈夫ですよ、苗字さん。こういったお仕事は初めてですか?」
「はい…接客は初めてではないんですが…」
「左様でしたか、ご心配は要りません。私共もしっかりサポートさせて頂きますので」
長谷川さんはそう言って、私を控え室に案内する。そこで八神さんは「ちょっと、一言だけ」と言って私を引き止める。
「どうしたんですか?八神さん」
「いや、ちょっとな…。苗字さん、この後何が起こってもあくまで平常心で…な?」
「え、なんですかそれ…?分かりました…?」
八神さんは、それを聞いて一度頷くとその場を後にした。不穏すぎる。この後私が先輩にいびられるのを見越してのことだろうか。私は恐る恐る、控え室の中に入った。
控え室に入ると、とても美人な女性が二人いた。長谷川さんの紹介のもと、改めて自己紹介をする。すると、長谷川さんはすぐに「では、私も準備がありますので。あとはよろしくお願いしますね」と二人に言って控え室から出て行ってしまった。…気まずい。
「あんたが、飛び入りで参加するっていう新入り?」
き、来た〜!!新人いびりだあ〜!!私は、何を言われても大丈夫なように身構えた。
「……超〜綺麗じゃん!!!本当に今日が初めて!?」
「ね!!私もびっくりした!!そのメイクどこでやってもらったの〜?」
あれ…?なんか想像と違う…?
「あ…お店から徒歩2分くらいにあるところで…」
「嘘!?あそこだと、そんなに綺麗にしてもらえるの!?私も明日行ってみよ!」
め、めちゃくちゃフレンドリーだ…!ブスの未経験者が飛び入りとか舐めてんじゃねえ、的なこと言われると思ってたのに…!
「あ!私たちまだ自己紹介してなくない?」
「本当だ!すっかり忘れてた!」
そう言うと、順番に自己紹介が始まった。背が高めの綺麗系な女性はアヤカさん。可愛い系の見た目でぱっちりとした目の女性はチエミさんというらしい。
「あれ、やっぱりまだ緊張してる?最初はそうだよね〜!あたしもそうだったもん!」
「というより、アヤカちゃんの第一声が怖すぎたんじゃない?お局様感あったもん!」
「え、まじ?」
はい、そうです、とは口が裂けても言えない。なんでも、二人は元々違う店舗で一緒に働いていたが、新人いびりに遭って苦労していたらしい。そこで長谷川さんが新店舗の店長になることが決まり、彼が二人に声をかけ今の状態になったんだとか。
「つ〜か、いびりって本当、なんの意味もないよね〜」
「うんうん、ビビらせちゃったら何も出来なくなって、売上も下がる一方だもんね!」
アヤカさんとチエミさんがそれぞれ言う。そして、アヤカさんはこう言った。
「んじゃ、あたしがお酒の入れ方とかマナーとか教えるから、名前ちゃん付いてきて!あと、敬語はナシね!」
「は…、うん!」
なんか、ここならずっと働いてもいいかも…?