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「でもまあ、好きなものがあるって良いことだよね。日々の活力になるし、毎日過ごすの楽しくなるし!」

杉浦すぎうらくんの口ぶりから察するに、彼にもそういう推しが居るんだろうか。

「杉浦くんも誰か推してる人いるの?」

「う〜ん、そうだね!最近できたんだけど」

「へえ〜!きっと美人さんなんだろうなあー!」

「うん、すっごく美人」

美人かあ〜。やっぱり清純派な女優さんだったりするのかな?でも結構、弟気質なところあるからお姉さん系だったり…。私がそう考えていると、料理が運ばれてきた。

私たちは雑談しながら料理を食べ、それが終わった頃に食後のドリンクが運ばれてきた。うん、美味しい。

「美味しい!名前さん、このクリームラテ凄く美味しいよ!一口飲んでみない?」

「え、ほんとに?じゃあ、私のモカもどうぞ」

「やった!ここのモカ美味しいんだよね〜」

そう言ってお互いに飲み物を交換する。甘過ぎず苦過ぎず、ちょうど良い味でこちらも美味しい。
と、味わってみてふと思った。これって間接キスというやつではないか?一度気づいてしまったら気にせずにはいられない。私は役得でしかないが、杉浦くんは無理してないだろうか。考え込んでいると、心配そうに杉浦くんが話かけてきた。

「どう?…もしかして、口に合わなかった?」

「あ、いや!そういうわけじゃ!甘くて凄く美味しいよ!」

「そ?ならよかった!」

杉浦くんはニコニコしながら言った。

さて、腹ごしらえは終わったが、この後はどうすればいいんだろう?八神さん達からも今の所、連絡は来ていない。

「じゃあ、次はどこ行こっか?」

「え?あー、そうだね…。浜北公園とか…?」

今は桜が見頃の季節である。長らく仕事に明け暮れていたため、お花見などもしておらず、久々にそういうことをしてみたいと思った。

「お花見か!いいね!」

「じゃあ行こ!」と言って杉浦くんはまた私の手を引く。私は慌ててこういった。

「ちょっと待って、お会計は?」

「ああ、それなら名前さんがトイレ行ってる間に済ませたよ」

へ?と間抜けな声が出る。

「ちょ、年下なんだし、悪いよ!!今お金出す!」

そんな私に杉浦くんはこう返す。

「良いって良いって!それに、年下でも一応男なんだから、こんな時くらい格好つけさせてよ」

そんなことしなくても十分かっこいいが?と言いかけたがぐっと堪え、「…分かった、ありがとう」と言って、杉浦くんと共に今度は浜北公園へ向かった。