笑ってしまってごめんね。














「……あぁ、私本当にあの時の格好のままなんですね……。そう言えば、カタクリ君と初めて会った時はインフルエンザの時期でしたっけ、マスクまでちゃんとしてるや」







抱き上げていたプリンをゆっくりと下ろしてそう呟いたなまえ。




……あの時と同じ姿のなまえがおれの目の前にいる。


あまりの懐かしさに嬉しい筈なのにおれは何故か恥ずかしくなってしまいなまえと目が合う前に顔を反らせたんだ。




でも、そんなおれを気にせずなまえはおれの目の前に膝を着いて白いマスクを指で下へとずらせばその口元は嬉しそうに笑みを浮かべていて懐かしそうにおれの頭を撫でてくる。






「本当に懐かしい……、カタクリ君こんなに小さかったのにあんなに大きくなったんですね……」

「凄い成長期だったんだろうね!」

「…………成長痛半端無かったでしょう」

「…………いや、そうでも……無い……っ!」






突然現れた子どもと共に眉を下げてそう聞いてくるなまえにおれは途切れ途切れにしか答えられなかった。ちゃんと目を見て話さなければならないのに、どうしてかなまえの目を見れないんだ。


……ぶわっと、顔が熱くて首のファーを上げて顔を隠そうにもファーが無くておれは戸惑う。




どうにかなまえに顔を見られないようにしたい……!!……隠れたい、とそう思ったおれは近くでまだボーッとしているプリンを見付け直ぐにプリンの後ろへ隠れる為に走ったんだ。






「……か、……カタクリ兄さん……!?」

「…………すまない、プリン……、」





ぎゅっとプリンの服を掴みおれはプリンに謝る。


少しの間、落ち着くまでこのまま隠れさせてくれ……!







***





プリンちゃんの後ろへと走って行ってしまったカタクリ君。カタクリ君を撫でていた手を引っ込めて私は男の子と目を合わせれば笑われてしまった。






「なまえお姉ちゃん振られちゃったね、」

「……そうですね、振られちゃったみたいです」





苦笑いを浮かべて私は立ち上がる。


ちらっとプリンちゃんの後ろから顔を出したカタクリ君と目が合うけど直ぐにまたプリンちゃんの後ろへと隠れてしまう。


……可愛いなぁ……、ほわほわと心が暖かくなる気がする。




お話したいんだけど、どうしたものか。


一歩、足を進めればプリンちゃんが肩を震わせてカタクリ君と同じように真っ赤になって両手を前に出して来ないでぇ……っ、って震えるような声で言われちゃうし……。


無理に近付くのは可哀想だけど、……カタクリ君とプリンちゃんともっとお話したかったんだけどなぁ…………。




しょんぼりしていれば、ペロスペローさんがやって来た。








「……すまないな……、カタクリとプリンは今の姿の君の前では恥ずかしがり屋になってしまうらしい。だから、そう落ち込まないでやってくれないか?」






そう苦笑いを浮かべながらフォローしてくれた。


……今の姿のままだとダメなんだ……、でもなぁ……。そう言われても、落ち込んでしまう。








「……嫌われてないとは思うんですけど、……こう、あからさまに来ないでって拒否されちゃうと寂しくて…………」

「…………それもそうだな……。カタクリ、プリン。覚悟を決めてこっちに来なさい」

「か、覚悟って……!!そんな、急に覚悟なんて決められない……!!!」





手招くペロスペローさんにプリンちゃんがそう言い、カタクリ君もぶんぶんと首を縦に振って頷いている。





「か、カタクリ兄さんが先に行ってよ……!」

「無理だ……!」

「さっきまであんなに普通に話してたじゃない!」

「さっきはさっきだ!今は無理なんだ……!」





言い争いを初めてしまう2人にペロスペローさんは溜息を吐いて喧嘩してしまっている2人に近付いていく。


そして、ペロスペローさんは片手でカタクリ君の首根っこを掴みもう片方の手でプリンちゃんの腕を掴んでこちらにやって来た。




私の目の前に2人は下ろされ、更には逃げられないようにとペロスペローさんの大きな手が2人の背中に添えられていて逃げようにも逃げられなくなってしまっている。






「ずっと姫抱きには会いたかったんだろう?こんな機会二度と無いかもしれないんだ。ちゃんと話しておきなさい」

「……私もカタクリ君とプリンちゃんとお話したいな」

「「…………っ……!」」






真っ赤な顔をした2人の手を握ってお願いすればやっと私の目を見て頷いてくれた。




たまに話している最中に逃げようとする2人をペロスペローさんが直ぐに捕まえていている姿を見て可哀想だけど少し笑ってしまってごめんね。










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