05

 天女を見送ったあと部屋に帰ると、人が倒れていた。うつ伏せで横たわっているが、茶色い髪で誰だかすぐわかる。

「おい三木、大丈夫か?」

 近づいて肩を揺する。なんとタイムリーな。さっき天女に三木とはそんなに話さないと言ったところなのに部屋にいるとは。
 何度か叩くと、三木は微かに動いてこちらを向いた。

「な、なんとか」
「なにがあったんだ?」
「委員会の活動が終わって部屋で寝ようとしたんだが、……散らかっていて寝られないんだ。ずっと部屋には荷物を取りに帰るだけで片付けてなかったから」
「あー、お前この一週間、驚くほど働いてたからな……」

 いくら潮江先輩に妨害されることがなくなったとは言え、潮江先輩は優秀ない組であられる。委員会内で一番有能だ。その先輩が抜けたのだから三木の負担も大きいだろう。可哀想に、三木の目の下には隈がくっきりと現れている。肌もいつもよりハリがない。自分の容貌に自信を持っている三木にとって、これほどつらいことはないだろう。
辛うじて寝間着に着替え、力を振り絞ってここに来たのか。
どうして俺の部屋にと疑問を抱いたが、少し考えれば三木の部屋から一番近いのが俺だということに気づいた。

「顧問の先生はどうしたんだ?」
「安藤先生も大変手伝ってくださってはいるが、一年の担任であられるから、あまり長くはいらっしゃらないんだ。しかもここのところ左門が迷子で遅刻、しかも途中でいなくなることが多くて、その度に人数が割かれるから進まないんだ」
「そうか」

 疲労感たっぷりの三木の頭を撫でて布団を敷いてやった。

「そのまま寝てると体が痛くなるだろう。布団で寝るといい」
「ありがとう。だけどそうすると市蔵は?」
「俺は苦労なんてしてないから疲れてなんてない。今日は勉強でもしているよ」
「そ、そんな!」

 起き上がろうとする三木を制した。

「まあまあ。どうしても眠くなったら……三木の隣にでも寝るから心配するな」

 困った顔をする三木に笑いかけると三木は眉を下げた。それでも布団の誘惑には勝てなかったらしく、おずおずと布団の上まで這った。そして布団に倒れこむと、十秒もしないうちに寝息を立てた。
 三木に布団をかけてやり、ぐっと伸びをする。三木にはああ言ったが、もう宿題は終わっているしわざわざ勉強するところがない。それでも行き場がないから文机の前に移動して、ぱらぱらと忍たまの友をめくる。ああ、そうだ。タカ丸に勉強教えるためのプリントでも作るか。やることも決まったので硯に水を垂らした。

2012/09/13/blog掲載

ヒトリヨガリ