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 少年探偵団が防犯プロジェクトのモデルをする日、待ち合わせ時間ちょうどに警視庁の北門前に到着すると、子供たちは輪になって集まっていた。

「おまたせ。……あれ、哀ちゃんはまだ来ていないの?」
「哀ちゃんなら、博士が風邪だから付き添いで一緒に帰ったよ」
「保護者帰っちゃったの!?」

 あっけらかんと言う歩美ちゃんに驚いて声を上げてしまう。
 他の子たちも阿笠博士がいないことに不安がる様子はない。彼女たちは普段から子供だけで事件に遭っているから目的地が警視庁なだけ安心できるのか。とはいえ、周りからすると不思議な光景なのか、門番をする警察官はちらちら私たちのことを見ている。
 居心地が悪いと思っているのは私だけのようで子供たちは平然としているし、歩美ちゃんにいたっては私の周りをぐるっと回って「今日のお洋服可愛いね!」とはしゃぐ。

「一応、撮影に付き添うからそれなりのものをって思って……」

 そういう歩美ちゃんも白いワンピースを着ていて可愛らしい。それに比べて男の子たちはまったくの普段着だった。
 私はというと、白のトップスの上にラベンダー色のジャンパースカートを穿いている。歩美ちゃんと同じようなテイストだけど、一人だけ色が明るくて、映らないのにはりきっているみたいだと恥ずかしくなる。少しでも色味を隠そうとスカートをくしゃっと握り、服から話題をそらそうと声を出す。

「そんなことより、中に入らないの?」
「それが、案内してくれるはずだった高木刑事と連絡が取れないんです」
「だから代わりに佐藤刑事に迎えに来てもらうところなの」
「コナン、早く電話をしろよな」

 妙ににこにこした三人が、スマートフォンを持ったコナンくんを急かす。
 コナンくんは首を傾げながらも言われるがままに電話をかけ、無事に約束をとりつけてから子供たちに楽しげなわけを尋ねた。

「高木刑事から佐藤刑事へのプレゼントを預かったんです!」
「はあ? でも高木刑事は来てないんだろ?」
「さっき、そこでおじさんに渡されたんです」

 光彦くんが持つ箱を見る。それは菓子折りほどのサイズで、小柄な彼は抱えなければならないほどの大きさだ。

「どうして高木刑事が佐藤さんに?」

 好意があるのは見ていて知っているけど、急にプレゼントを渡されたら佐藤さんもびっくりするだろう。
 そんな私の疑問に、子供たちは目をすがめて「何言っているんだよ」「あの二人付き合ってるからだよ」と、世の理かのように教えてきた。
 私からすると寝耳に水の驚きだ。少なくとも、爆弾犯を捕まえた去年の秋はまだ松田に思いを寄せていた。高木刑事の方は佐藤さんのことが好きな気配を漂わせていたから、松田のことを引きずる佐藤さんを彼が支えてくれるだろうと期待してはいたけど、まさか付き合っていたなんて。
 佐藤さんが立ち直っていることに安心する一方、知らないうちに変わっている関係性を飲み込めずにいる間、子供たちは二人の仲睦まじい様子をあれこれ教えてくれた。おかげで佐藤さんが迎えに来てくれたとき、正面から見ることができなくて一人で気まずい思いをすることになった。
 だけど、そんなことを気にする余裕はすぐになくなった。
 広報課に向かう途中、佐藤さんが例のプレゼントを開けると中からタブレット端末が出てきて、そこには拘束された状態の高木刑事が映されていたのだ。
 その場は騒然とし、撮影どころではなくなった。すぐさま子供たちは捜査一課に連れていかれ、事情聴取を受けることになったけど、プレゼントを渡してきたおじさんも見ていなければ高木刑事のことも詳しくない私は、限りなく部外者ということで軽く事件のことについて聞かれたけど早々に解放された。

ヒトリヨガリ