キュラソー×三段アイス
「よっ、と……」
「もっとお腹に力を入れて」
「っう」
「よそ見しない」
キュラソーの平坦な声を聞き流しながら、なんて無茶なと顔をしかめた。鋭い蹴りをどうにか屈んでやり過ごし、こうなった元凶のジンを恨んだ。
今朝、突然ジンからキュラソーに体術を教えてもらうようにと言われた。ただの冗談だと無視していたら、キュラソーに訓練施設に連れ出されて今に至る。
「よそ見は……しないって、言ってるでしょ」
ラリアットによって体が仰向けに宙に浮いた。ドンッと床に腰を強打したけれど、体が軽いのでそこまで衝撃はなかった。
仰向けに倒れたまま私を見下ろすキュラソーを見る。
「疲れた」
「まだ始めてから一時間も経ってないわよ」
「まだ一時間じゃないの。もう一時間経ちそうなの! ねえ、こんな急に特訓したって無理だよ。今日はこれくらいにしよ。ね?」
ボンゴレにいても私の体術スキルは一向に上昇しなかったのだから、今さら何時間やったって無駄なのだ。
懇願するようにキュラソーを見上げると、キュラソーは「そうね」と言ってため息をついた。あ、今バカにされたなと気づいたけれど納得して貰えたのでよしとする。
特訓が終了したのが嬉しくて勢いよく起き上がる。
「ふう、あっつい。キュラソーは全然汗かいてないね」
顔にも首もとにも汗一つかいていないキュラソーが羨ましい。
キュラソーは肩をすくめた。
「動いてないからよ」
いや、動いてないことないでしょ。私にずっと攻撃しかけてきていたんだから。もしかして身体能力の高いキュラソーからしたら、あんな攻撃動いたうちに入らないってことかな。
「戦ってるキュラソーってすごくかっこいいよね」
「……そうかしら」
「うん! 私も戦いたくなる。……まあ戦えないけどね」
体をほぐしていると、ふとアイスが食べたくなった。今だと少し寒いけれど、運動したあとだからちょうどいいかも。
「ねえ、帰る前にアイス屋さん行こうよ。今ならダブルの値段でトリプルにできるんだよ! テレビでやってた!」
「トリプル? ナマエには大きいんじゃないの?」
「大丈夫だよ〜。食べられるよ!」
「あなたなら本当に食べられそうね」
呆れた目で見下ろされる。
「キュラソーは何味食べる?」
「え、私も?」
「当り前じゃない! 一緒に食べたほうが楽しいよ。キュラソーもトリプル食べる?」
「いえ、トリプルはいらないわ」
「そっか、じゃあダブルだね」
「……シングルっていう選択はないのかしら?」
「ないよ!」
キュラソーが本日何度目かのため息をついた。ため息をついても私の小さなわがままを聞いてくれることは知ってる。純粋な子どもじゃなくてごめんね。
やっぱりダブルのアイスで了承したキュラソーに笑みがこぼれる。何味にするのか聞けば、「バニラと、あとはフルーツにするわ」と微かに笑った。
「ナマエは?」
「うーん、甘いの食べたいけど運動したあとだからさっぱりしたのも食べたい気分。ラムネのアイスは決まってるんだけどね。あとはラムネに合いそうなレモンとかメロンとかかなあ」
「珍しいわね。ナマエのことだからチョコを三種類頼むのかと思ったわ」
「チョコも捨てがたいんだけど、それは今度にする!」
ジンのことだから、またキュラソーに特訓を頼むだろうし、その時はチョコの三段アイスを食べよう! キュラソーも一緒に。
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「キュラソー×三段アイス」のリクエストありがとうございました!