スコッチ×ホットケーキ
「スコッチはホットケーキはメープルシロップと蜂蜜、どっちが好き?」
突然の質問にスコッチは目を白黒させた。少し間を置いてから「そうだなあ」と首を捻って「蜂蜜かな」と答えた。
「どうしたんだい?」
「私はメープルシロップが好きだけど、スコッチはどうだろうって思って。予想通りだった! スコッチは蜂蜜のイメージある〜」
得意気に言えば、スコッチは笑って「なら、俺も予想してみようかな」と顎に手をやった。探偵が推理しているみたいで様になる。目を閉じて黙考したスコッチは、目を開いてからニッと笑った。
「ナマエは今、ホットケーキが食べたいと思っている。……違う?」
「正解!」
「だろ? 予想通りだ」
「パンケーキも好きだけど、今はホットケーキの気分。ふわふわサクサクのホットケーキが食べたいな」
「アイスも乗せて?」
「最高だね」
笑いながら私の頭を力強く撫でたスコッチは、「バーボンがいれば作ってもらえるんだけどなあ」と眉を下げた。
部屋の時計はまだバーボンが戻らないことを示している。そもそもバーボンが戻ってくるのは夜だろうし、もしかしたら帰ってこないかもしれない。別に私はホットケーキくらい我慢できるし、バーボンが戻ってこないのも問題ない。だけどスコッチは違うようだ。見た目だけは幼い私にホットケーキを食べさせてあげたいし、世話係のバーボンを傍に置いてやりたいらしい。どうしたものかと悩んでいるスコッチを見て罪悪感に蝕まれる。
「それなら、スコッチがホットケーキを作ってよ」
思い切って、そう切り出すとスコッチは目を丸くして私を見る。
「だけど、ホットケーキなんて作ったことないからなあ」
「ホットケーキなんて混ぜて焼くだけだから大丈夫だよ。私でも作れるから一緒に作ろう?」
「いや、それはダメだ。火を使うから危ないだろう?」
「じゃあ混ぜるのを手伝うよ」
それでもスコッチは不服そうだけど、粉を混ぜるくらいなら別に危険なんてないし、いいじゃないとスコッチの背中を押した。作ってもらったものを食べるのも美味しいけど、一緒に作ったものを食べるのもきっと美味しいに違いない。
懐から出したスマートフォンを操作して、しばらく何か考えてから、ようやくスコッチは一緒にホットケーキを作るのを承諾してた。
「コンロの傍には近寄らないこと。刃物は触らないこと、それから……」
「はいはい、わかってるよ」
これは長くなると直感した。ホットケーキの粉を混ぜるくらいでそんなに警戒しなくてもいいじゃない。注意を聞き流しなら、ふと疑問が生まれた。
「スコッチ」
「なんだ?」
「ホットケーキの分量わかるの?」
「それならさっき調べたから完璧だよ」
スコッチは手に持ったままのスマホを振って見せた。さっき操作していたのはレシピを調べるためか。
納得して、スコッチを手を引いてキッチンに向かう。アイスは冷凍庫にあったし、蜂蜜もあった。メープルシロップだけあったかわからないけど、なければスコッチと一緒に蜂蜜をたっぷりかけたホットケーキを食べればいいや。こんどメープルシロップを買ってきたら、その時はスコッチとメープルシロップのホットケーキを食べよう。
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