ベルモット×ジェラート
※時間軸は原作前のイタリア編
「はいどうぞ」
「お姉さん、ありがとう!」
カウンターに置いた片腕を支えに背伸びして、店員さんからジェラートを受け取った。コーンの上にはシナモンチョコレートとアーモンドの茶色と白色の二色のアイス。そのまた上にたっぷりの生クリームが塊のまま乗っている。
先にジェラートを受け取っていたベルモットは私のジェラートを見てうんざりしたように息を吐いた。どうせ見ているだけで胸やけするとかなんとか思っているんだろう。よく言われるからわかる。
「ベルモットは何味だっけ?」
「ラズベリーとヨーグルトよ」
「わあ、それも美味しそうだね! さっぱりしてそう」
「ナマエはくどそうね」
「わあ、随分直球だね……」
でも絶対に美味しいんだから。
店から離れて、街並みを眺めながら一口食べると、冷たくて美味しい。今日は日差しがキツのでジェラートの冷たさが染みる。
ちらりと横のベルモットを見た。サングラスをかけてジェラートを食べている姿の美しさに目がくらんだ。一般人のオーラじゃない。まぶしい。イタリアの日差しとベルモットの眩しさにくらくらする。熱中症になりそう。
「どう、少しは気が晴れた?」
ベルモットがサングラスを少し持ち上げて私を見た。翡翠色の視線が私を突き刺す。
「うん。大丈夫だよ、ありがとう」
「あんな陰気なところにずっといたら気分が落ち込むのも当たり前よ。気にすることないわ」
「部屋の日当たりはいいんだけどね」
「日当たりなんて関係ないわよ。ジメジメしていて空気が重いのよ。バーボンが散歩に連れて行ってくれるようになったらしいけど、聞けば研究所の近くだけだそうだし。あの男たちは女の子の扱いを知らないのよ」
「あの男たち」って誰だ。バーボンは確実に含まれているけど、バーボンのようなイケメンをコケにするベルモットがかっこいい。大人の女性って感じがする。……私も大人のはずなんだけどな。
「ほら、ジェラートが溶けるわよ」
「あ、わっ」
指差されて手元を見たら、ジェラートが溶けてつやつやになっている。慌ててこぼれそうなジェラートを舐めとる。ベルモットは綺麗に食べてるだけに私の汚さが目立つ。
「あと、気分転換って言ったらショッピングかしら?」
「あ! ウインドウショッピングしたい! それにベルモットが服を買うところ見てみたい」
はいはいと挙手して言えば、ベルモットは「それなら次はショッピングね」と笑った。
あれ、でも待てよ。この近くのお店って有名ブランドが軒を並べていなかったっけ。ドキリとしたけれどベルモットは平然としている。私が体験したことがない高級ブティックで買い物をするベルモットを見られるのだと思うとわくわくする。逸る心をおさえつけて残りのジェラートのコーンの部分をサクサク食べ進めた。
――――
「ベルモット×ジェラートでイタリアの街角」のリクエストありがとうございました!
ジェラートは本編で食べさせるか悩んだものだったので書けて嬉しかったです。