綱吉×ぶどうキャンディ
リボーンから潜入捜査と同時進行で頼まれた調べものを調べ終わり、そっと研究所を抜け出して待ち合わせの場所に急いだ。
幻術を駆使して誰にもバレないように細心の注意を払い、数多あるボンゴレ傘下のビルの一つに着いた。中に入れば私のことを知っている人たちばかりなので、幻術を解いてすれ違う人たちに挨拶していく。
最上階の一番大きな扉を勢いよくドンと開けば、綱吉が窓辺に立っていた。逆光の綱吉がゆっくりと私を向く。綱吉は私が入ってくることがわかっていたかのように平然と微笑を浮かべている。
ぼんやりと映画のワンシーンみたいだと思った。
「お疲れさま。潜入捜査中なのに仕事をお願いしてすみません」
「別にいいよ。簡単だったし」
綱吉に促されてソファーに座ると、次いで綱吉も正面のソファーにゆっくりと腰を下ろした。情報をまとめた書類を渡して私の任務は終了した。ぐっと背伸びをする。
「ボーナス楽しみにしてるから」
「わかってますよ。リボーンもナマエさんはよく頑張ってるって言ってますから。……あ、そうだ。一足早いボーナスいりますか?」
「ほしい!」
身を乗り出して返事をした。
綱吉は笑いながらポケットに手を突っ込み何かを握ったまま拳を私の前にずいと近寄らせた。両手を綱吉の拳の下に差し出すと、カサリと音がして何かが手の上に落ちてきた。綱吉の手が引っ込むと、紫色のビニールが見える。
視界の端に見える綱吉の顔はにこやかだ。
「ぶどうの……キャンディ?」
「うん。任務完遂のご褒美だよ」
「任務のボーナスがキャンディって! 子どもじゃないんだから!」
「今は子どもの姿でしょ」
「しかもブドウ味ってランボじゃないんだから!」
「あー、……まあ、ランボのおすすめのやつだよ」
何故か口ごもる綱吉を不思議に思って貰ったキャンディをよく見ると、不自然にビニールがシワだらけ。ジロッと綱吉を睨むと、綱吉は乾いた笑みを浮かべながら「前にランボから貰ったやつなんだ」と言って目をそらした。
貰いものをご褒美なんて口実に人に押し付けるなんて。ぷりぷり怒ったけれど、キャンディに罪はない。しかたなく一足早いボーナスとやらを口に放り込んだ。
「確かに、ランボがおすすめするだけあって美味しい」
「喜んでもらえて嬉しいよ」
「でも! これだけじゃ満足しないからね! ボーナス期待してるから」
「ふふ、そんなに怖い顔しても、ほっぺたがキャンディで膨らんでいるから全然怖くないよ。昔のランボみたい」
堪えきれずに笑う綱吉の足を思いっきり踏んでやったけれど、小さな体ではダメージがない。びくともせずに「ごめんごめん」と悪びれずに謝ってくる。
「はあ、昔の綱吉は可愛かったのに。ダメツナなんて呼ばれてたころが懐かしいなあ」
「なっ! ナマエは俺がダメツナって呼ばれてたころ知らないだろう!」
「知らないけど教えてもらったもーん」
「誰に!」
「内緒。情報元をむやみに明かさないよ」
「ボス命令でも?」
「ボス命令でも」
綱吉は片手で顔を覆って「リボーンだな」とため息をついた。大正解。
口の中でもごもごとキャンディを転がしながら「あいつ」や「いつまでもいつまでも」と恨み言を呟く綱吉を見ていると、チラリと私を見て、また「そうやってキャンディ食べてる姿は無害そうなんだけどな」と盛大にため息をついた。なんて失礼な。私はいつも無害だと、綱吉に近寄って頭突きして「べー」っと舌を出してからその勢いのまま部屋から飛び出した。
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「綱吉×ぶどうキャンディでほのぼの」のリクエストありがとうございました!
「ほのぼの」になっているかとでも心配です。