めめ


 最近、ジムに通い始めた。元々はクラスの友人に「親戚がやってるんだけど一緒に行かない?」と言われたのが始まりだった。
 ジムは料金が財布に響きそうだと最初は断ったのだが友人にはお見通しだったようで、身内価格というか、友人の友達ならと無料で使わせてもらえると聞いたら、興味があった私に断るという選択肢はどこにもなく。
 かくして私は人生初のジムに週3で通い始めた。

「あれ、#名前#ちゃん痩せた?」
「ひぇっ……やっぱり迅さん!」
 お尻をするりと撫で上げられて、変な声が出そうになるのを我慢しながら隣に立った彼を見上げる。
 名実ともに実力派エリート、私のボーダーにおける先輩の一人である彼――迅さんは、にっこりと笑みを浮かべていた。

「もー、あんまり痴漢じみたことしちゃだめですよ!」
「いやー、ごめんごめん。それより#名前#ちゃん、痩せた? なんか引き締まってない?」
「痩せたかどうかはわかんないですけど……」
 最近ジムに行き始めた、という話をすると、迅さんはへぇと相槌を打ち、それからにやりと笑う。この笑みは大抵ろくでもないことを考えてるときの笑みだ。私は詳しいんだ。
「じゃ、私はこれで……」逃げようとすると、するりと腰に手が回される。手慣れた様子の迅さんに引き寄せられた私は、抵抗するまもなく固まることしかできず。にんまり笑う迅さんが視界に写る。
「や、やめてくださいよぉー」
「いやー、いい眺めだなぁ」
「セクハラですよー、セクシャルハラスメントですよ公訴も辞さぬ法廷で会おうぜ! ですよもー」

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