つづき

×脱色

「頭領! とれたよーっ」
「とうりょー、俺も!」
「はいはい。並んで用意しといて」

 「はーい!」と元気よく返事をした子供達が駆けていく。その手に持っていたのはどこからか狩ってきたのであろう動物があった。

「なんでテメーの住む生活環境整えたらダメなんだよ。ざけんなっての、本来なら管理側が整備しなきゃなんないもんなんですけども」
 怠慢してんじゃねえよと言わんばかりの目で見られ、胸が痛む。
 実際、改革を進めていく中で流魂街の一部の治安は問題となっていることのひとつであった。
 なのでこの七十番台の町の治安が良くなっていったのは願ったり叶ったりという部分もありーーその気持ちすら見透かされたような気がして、情けない限りであった。

「いやあ、返す言葉も無かったよ。ボクの心見透かされたみたいでさ」
「たしかに、幼子にそう言われたら俺も胸が痛むな……」

 ある月の夜。晩酌を交わしながら友の話を聞いていた浮竹は、その内容に胸の痛みを感じた。
 神掛をし、本来死すべきはずだった浮竹は、様々な奇跡によって生き長らえた。代償として隊長の中でも飛び抜けていた霊力は失われたものの、今まで持っていたのが異常だっただけで仕事に支障はほぼ無いに等しく。
 しかし隊長としてはもう無理だろうと判断し、今は死神の人手不足を補うため、隊長の座を降りて真央霊術院にて講師として働く日々を送っていた。
 持病も随分快方に向かい、今では床に伏せることも少なくなって、隊長であった頃よりも血色も良くなったように見えるとは親友である京楽の言だ。

 七十番台の流魂街で出会った「頭領」と呼ばれる人物は、まだ十代半ばほどの姿の少女だった。
 少女はその細く脆そうな体で街のゴロツキ達を圧倒し、瞬く間に街のトップとなり生活環境の改革を始めたのだという。
 どこからか手に入れた刃の零れた刀で器用に獲物を狩り、傷んだ家屋をあるものを使って補強し、まずは荒んでいた衛生環境を整えた。
 そして死した後ランダムに飛ばされて治安の悪い街に行きついてしまった罪のない幼子達を保護し、そのまま農耕を始めた。
 子供の中には霊力を持つーー空腹となる子供が複数居たため、飢えを凌ぐために自活は必要不可欠だと判断したらしい。少女自身も霊力を持っているらしく、自給自足は急務だったのだろう。
 少女は森に罠を張り、幼子たちに狩猟を教えた。効果的な罠の張り方、いかに手早く血抜きをして捌くか、川では川魚を得るためにあったものから罠を作り、それを使って魚を狩る。
 生き抜くために必須のサバイバル知識をみっちりしつけられた子供達は、街のゴロツキ達よりもタフでワイルドに変貌していたらしい。

「その子、一体いつ亡くなったんだ?」
「割と最近ーー本当にここ半年くらいらしいよ。本人曰く、生前より幼い姿になってるらしい」
「それはまた珍しいな」
「うん。だから正直保護すべきか考えたんだけど、自分は平気だから他の地区の治安改善に取り組めって叱られちゃった」





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