結城亮

「ね、亮くん……」
「うん?」

 甘えるように腕に抱きついてきた愛おしい女の子の姿に結城は頬を緩ませる。
 なまえは結城にとって女神のような人だ。これはけして過言ではなく、文字通りの意味――絶望の淵に立たされていた彼にとって、たった一人の救いの手だったからだ。
 小さな頃に会っただけの自分を探し当てて、手を引いて導いてくれた人。救いなどないと絶望していた自分を優しく包み込んでくれた天使。一度その腕の中に包まれてしまえばもう手放せない。依存でもなんでも言ってくれていい――例え何があっても手放す気などないのだから。
 世界で一番愛おしい女の子。そんな相手のお願いなら、結城はなんでも聞いてしまうのだ。

「あ、あのね……」
「どうしたの?」

 内腿をすり合わせ、もじもじと視線をさ迷わせる姿は小さい頃の彼女を思い出す。
 自分の膝の上で乗って甘えてきた可愛い小さな女の子。恥じらいながらもぴとりとくっついてきた女の子を抱きしめたまま遊んでいたその時間は、大人になってからもささやかな幸せの糧となっていた。
 なまえは結城の手を掴み、自身の柔い胸の方へと優しく誘った。

「えっ」
「亮くん、えっちなこと、しよ……?」

 甘く囁かれ、ふにゅんと布越しでも分かる胸の柔らかさを知ってしまえば――断ることなどできなかった。
 愛しい人に求められて、断るなんて選択肢は無いのだから。


 リビングでは体を痛めるからとなまえの部屋に入り、何度も啄むような口付けを交わす。部屋の鍵を閉め、縺れるようにベッドの上へ倒れ込む。
 もっと触ってと抱きつくなまえの目は扇情的で、自分の中の劣情が肥大化していくのがわかった。なまえと再会して共に暮らすようになり、「恋人」という関係になってからわかったことがある。彼女は人よりも若干性欲が強いらしい。
 男を知らない清純そうな見た目とは裏腹に、ベッドの上での彼女はまるで娼婦のように妖艶に乱れ、自分を求めてくる。

(かわいい……)

 成人男性の性欲がどれくらいかは分からないが、なまえに見つけてもらうまでは縁遠かった健康的な生活と安寧を手に入れ、遅れに遅れてやってきた青い春のせいか、結城もそれなりに性欲が強く、体の相性は抜群だった。
 ひたすらに自分を求めてくれる。それ以外は何も要らないとばかりに可愛くていやらしい鳴き声をあげる女の子。愛おしく思わないわけがなかった。
 数年跨ぎでご無沙汰だったこともあり性欲はあり余っているので自分から誘っても良いのだが、とろとろに発情した顔で恥ずかしそうに誘うなまえの姿は中毒性があった。――故に、夜の誘いはなまえからが大半だ。無論、自分から誘うこともあるのだが、それ以上になまえが求めてくるのが嬉しく、つい誘われるのを待ってしまう。彼女が月のものでできないとき以外は毎夜のように睦み合っている。最近ではコンドームも業務用を購入するくらいに二人はお盛んだった。

「下着、付けてなかったの?」
「う、うん……っ、えっち、したくって、あんっ、は、はしたなくってごめんねぇ」
「そんなことないよ。すごく嬉しい――かわいいよ、なまえちゃん」

 シャツ越しでも分かるほど柔らかな膨らみを手で包み込むようにしてやわやわと揉み込んでいく。結城の問いかけに、恥じらいながらも発情した様子を隠せないなまえがびくんと体を跳ねさせる。
 カリカリと胸の頂きを爪先で引っ掻く。一際高い嬌声に、口角がだらしなく上がってしまう。扇情的で、自分しか知らない声だ。
 なまえは初めての夜も結城をリードしたが、それはイコール手慣れているからというわけではなかった。募らせた思いが爆発しただけで、彼女は処女だった。挿入の直前に伝えられたそれに理性がぶつんと切れて、結城はなまえを貪り食らった。
 そこからは毎夜のように無垢な体を開発し、今では娼婦のように淫らになったなまえが愛する男の温もりを求めて淫猥の海へ溺れていた。

「は……あんっ、ふぅっ……」

 鼻に抜けるような甘い吐息が漏れ出す。ショーツの上から陰核を爪を立てるように擦る。じわじわと布の色が湿り気を帯び、部屋の中に気持ちよさそうな喘ぎ声が響く。

「りょう、く、ンンッ」
「なまえちゃんっ……」

 半分理性を失っているのか、とろんとした目で自分を見つめる女の子に股座に熱が溜まっていくのがわかる。こればかりは人間の本能のようなものだ。結城はなまえの陰核を擦る手はそのままに、ぼんやりとした状態で開かれたなまえにキスをする。
 小さな口に自分の舌をねじ込み、舌と絡ませながら貪るようにしゃぶりつく。くちゅくちゅと音を立てながらなまえの咥内を蹂躙し、空いている手はなまえの背に手を回し、逃げられないよう固定する。ビクビク小刻みに揺れる体が愛おしかった。

「んっ、」
「あっ……」

 じゅる、と音を立てながら口を離す。
 名残惜しそうな顔でこちらを見るなまえの荒い呼吸が脳内を犯すように結城の頭の中に広がっていく。抱き寄せた彼女の腰はガクガクと震えており、目はとろんと蕩けている。陰核を擦っていたショーツはもはや使い物にならないほどびしょびしょになっていて、なまえが達したのだとすぐにわかった。

「これ、もう要らないから脱ごうか」
「あ、ンっ」

 言いながら結城は濡れたショーツを手早く引きずり下ろす。
 その感覚だけでも感じてしまったのか、体を震わせながらなまえは自分の口元に手を当て必死に声を抑える。
 外気のひんやりとした感覚に、腹の奥がきゅんと締まるような感覚がする。くちゅっと鳴った音に自分の体がどんどん快楽を求めて変化していくのがわかる。
 頭の中がどんどん快楽に蝕まれていく。それが何よりも嬉しかった。
 脱がせたショーツを放り捨て、結城はまたなまえに覆いかぶさった。

「なまえちゃん、なまえちゃんなまえちゃん、なまえちゃんっ……」
「亮、くん……」

 うわ言のように愛する女性の名前を呼び、骨ばった人差し指が膣の中に挿し込まれる。潤みを持ちながらもまだ狭い腟内は指をきゅうきゅう締め付け、異物感がなまえの体を体を高揚させていく。
 啄むようにキスをしながら、なまえは赤らんだ顔で結城を見つめる。

「ッ……なまえちゃん……」
「りょお、くん……んッ、そこ、気持ちい、もっとぉ……」

 膣奥のしこりのようなところを押すと、一際体が強く跳ねた。快楽の波に流されて狭まっていた腟内が緩み、愛液が分泌されてぐちゅぐちゅと部屋の中に粘性のある音が響く。
 溢れてきた愛液は結城の指にまとわりつき、ローションのように滑りを良くしてくれた。思い切って大きく指を動かせば、可愛い喘ぎ声がひときわ大きく室内に響いた。
 雌の匂いだ。久しく触れることのなかった存在――自分を受け入れてくれる唯一の人。愛おしい、ただ一人の番。

「なまえちゃん、ごめん、入れる……っ」
「あっ……いいよッ、来てぇ、亮くんの、ほしいッ……」
「――――ッ!」
「んあぁッ」

 ぶじゅっ、と濁った音を奏でながら熱い肉棒がなまえの中を穿つ。

「はい、ったぁ……っ」

 きゅうきゅう蠢く腟内が精を搾り取ろうと躍起になっている。
 なまえは甘い声で云い、なまえの両脚が結城の背に絡まる。結城はゆさゆさと腰を振る。湯船のような生温い感覚。ゴリゴリと自分の肉棒が彼女の胎内を蹂躙しているのが嬉しかった。
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