焦げ臭い台所。真っ黒になってしまった鍋。ブスブスと音がするのはカレーだった物だ。
腰に手を当てた名前の目は据わっている。
「…これで何度目かな?煉獄さん。」
リビングに正座している煉獄は弁解の言葉もなく項垂れた。
「鍋とフライパンが真っ黒のになったのは今月に入って三つ目なんだけど。」
「…今日はできると思ったのだが、」
しょんぼりとした姿はまるで縮んだようだ。溜息を一つ落として名前は煉獄の前にしゃがみ込む。
手を出して、という声に恐る恐る手を出せば煉獄よりも随分細い指がその手を握る。
「火傷は無いね。」
「、うむ」
「火事にならなくて良かった。」
両手の甲と掌の怪我の有無を確認し、労わるように摩る手に手を重ねる。冷え性の彼女の手を冷たい。
「すまない。君に任せ切りだから少しでも役に立ちたかったんだ。だが、余計な仕事を増やしてしまったな。」
「別に家事は苦にならないけど、そろそろコンロは使えるようになった方がいいよ。なんでいつも最大火力にしちゃうの。」
許すとは言ってないです怒ってますとばかりにじっとり睨む。その視線を避けるように首を傾げる。
「火が強い方が早くできるだろう?」
「…なるほどそういう考えか。」
ふむ、と口元に手を当てて考え始めた。
暫くの後、首を傾げたままの煉獄に合わせるように首を傾げてピッと人差し指を上げる。
「一晩激しく抱くのと、毎晩優しく抱くのとは違くない?」
長いような短いような沈黙の中。
「…成る程!」
うむ、分かりやすい!と目を見開いて何度も頷く。
「料理は繊細だから優しく火にかけてね。でも適度だよ。優しく焦らし過ぎてもダメ。」
「分かった!ところで、」
煉獄は両手で名前の頬を包むと顔を近付けた。唇は悪戯に弧を描いている。
「君は激しいのと、優しいのとではどちらがいいんだ?」
返事を促すように名前の唇を親指が押す。
「優しい方が好き。」
「激しいのは嫌いか?」
「気持ちいいのと辛いのと紙一重だから好きじゃない。でも焦らされるのも好きじゃない。」
「そうか、覚えておこう。」
互いに目を閉じて唇が重なる。触れるだけから徐々に深くなっていく。煉獄はとろんと溶けた瞳の名前を抱えて寝室の扉を開けた。
「もう、いい」
「何故?優しくしているだろう?」
「優しくしてても温め続ければ焦げるの」
「次から気を付ける。」
「い、今じゃないの?」
後日職場で料理が出来る様になったと自慢する煉獄であった。
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以前どなた様かのTwitterで上がっていた火加減のネタを元に作成しました。
なんかすごく分かりやすかった。
ちょっとうろ覚えだから違うかも。問題あるようなら削除致しますー。