「お弁当箱、ですか?」
二人で連れ立ったのは商店街の雑貨屋で。
店内には店主の趣向か和を衒った雑貨が所狭しと並んでいる。
名前は黒い木目調の弁当箱とそれよりも大分小さな同じ木目調の弁当箱を持った獪岳を見上げて先程の質問を口にした。
「明日から卒業までお前が作れ。」
金はお前な、と二つ分の弁当箱と箸とを手に渡される。
「え、ええー…」
「お前に拒否権は無い。」
「私の分も、ですか?」
「それが目的だからな。」
確かに強制されれば作るし、食べもするので食事を摂らせる方法としては最も効果的ではある。
「おに…」
「鬼だよ、悪いか。」
「周りがドン引きする可愛いキャラ弁にしてやります。」
「泣かせるぞ。」
ぶちぶち文句を言いつつもちゃんと会計をして店を出る。
「あとは食料品だな。」
「はい、お弁当の材料ですね。近くのスーパーに行きますか?」
ん、と荷物とは逆の手を重ねる。温かい大きな手。
「で、デートみたい、です、ね…」
声が小さくなるのと比例して頬が赤く染まっていく。
「自分で言いながら照れるなよ。」
「だって、こういうの慣れてないので、」
恥ずかしい奴だな、と言いつつしっかりと掴んだ手を離さないでいてくれる。望んでいた場所に名前は口元が綻ぶ。
***
「あれ、名字じゃない?」
「男と一緒じゃん。誰?」
「獪岳じゃね。あの目つき悪くて偉そうな奴。」
「名字ととかないわー。」
「馬鹿、分かってねえなあ。大人しくて何でも言う事きくから良いんだろうが。」
「成る程ねえ。」
「うちのサンドバッグちゃんと付き合いたいならちょっと遊んでやらねえとな。」
「あははは、何する?」