時々想い人の夢を見る。
頬を大きくて武骨な手が撫でる感覚に、ああ、またこの夢だ、と名前はぼんやりと思考を浮上させる。視界を彷徨わせると優しく微笑む想い人。
まるで自分と同じ気持ちを抱いているような様に胸がきゅうっとする。
「炎柱様、」
「名前、すまない起こしてしまったな。」
その声音は普段の快活さを抑えている。なんだかこそばゆくて、自身よりも大きな手に頬擦りをした。煉獄はそれに目を細める。
「今日は一段と冷えます。どうぞお入り下さい。」
掛け布団を上げると煉獄は僅かに顔を赤らめた。
「いや、うら若い女性と同衾というのは…。隊服も返り血や埃で汚れているし…。」
結局煉獄は暫しの逡巡後、失礼する、と羽織を脱いで布団へ潜り込んできた。
触れた体はやはり冷えている。
「やっぱり体が冷たいですね。」
「名前は温かいな。」
夜風で冷えたであろう体を温めてあげたくて腕を回す。自分の背にも煉獄の手が回る。寒かったのだろうな。ぴたりと胸に頬を寄せれば服の上からも逞しいのがわかる。恋人同士のように抱きつき抱きしめられて幸せだ。
ああ、なんて、
「いい夢…、」
ふにゃりと微笑むと名前はまた目を閉じた。
「夢ではないのだがなあ…」
苦笑した煉獄の独り言が静かに響いた。