獪岳はよく考えている事がわからない。
今も同じ部屋にいるというのに、同じソファに二人で座っているというのに、彼はスマホと睨めっこ。
「獪岳。」
返事はない。私は透明人間だっただろうか。
いや、別にベタベタイチャイチャしたい訳ではない。でも、もう少し位構ってくれてもバチは当たらないのではないだろうか。
不貞腐れて手元にあったクッションを八つ当たりする様に潰していると、隣りから機械音が聞こえてきた。
「んだよ。」
…おお、偉そうな電話の出方だな。(軽く引く)
邪魔にならないように、と名前が立ち上がる。部屋を出ようとする腕を獪岳の手が捕まえた。
「どこに行く気だ?」
「え、邪魔かと…」
勿論その間電話は繋がったまま。電話口からは何やら騒いでいる声が聞こえる。(彼がうるせえな、少し黙れとドスの効いた声で一喝するとぴたりとその声は聞こえなくなったが)
「ここにいろ。」
自身の横を叩く手に従い再び腰を下ろすと、その手が今度は名前を逃がさんとばかり肩に回る。そのままぎゅうと獪岳が抱き寄せるからもう頭の中は真っ白だ。
なんだ。なんだろこれ。さっきまで放置だったのに。
移る熱に顔が熱くなっていく。
獪岳は本当に考えている事がわからない。