軒下で小さく足を抱えて縮こまる銀色の玉。風が通るから冷えたのだろう。触れた肩はひどく冷たかった。

「名前、待つにしても家の中で待てばいいじゃないか。体が冷えるだろう。」
「いいの、寒くない。」

杏寿郎は俯いて顔を見せないままの彼女の横に腰を掛けると、自身の羽織を羽織らせて肩を抱く。冷たい体に自分の体温が移るように。そうでなければ彼女も冷たくなって居なくなってしまうのではないかと思ったから。

「……杏寿郎も兄さんが死んだと思う?」

先程の体勢のままくぐもった声が聞く。望む答えは知っている。

「君は、どう思う?」

けれどもそれを言っても言わなくても結果は変わらない。

「生きてると思う。」
「そうか。ならそれでいいのではないか。」

ふふと溢れる笑い声。それに少し悲しみが滲んでいる。

「杏寿郎は意地悪だ。」

そう呟きすくっと立ち上がった。
悲しみの中で蹲ったままでいる程彼女は弱くない。

「帰ってこないなら探しにいく。ただ待ってるだけなのは性に合わない。」

ありがとう、と杏寿郎に向かって微笑む。

「悲しいのには負けないよ。」

何度でも立ち上がる。何度でも立ち向かう。傷付き、心が千切れそうになっても。

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