突然の通知



先日寮に行かせてもらって、久しぶりに天馬と再会した日から特に変わらない日々が続いた。

佐久間くんとはほぼ毎日学校で顔を合わせており、劇団の様子などを話してくれたりする。
現在は新しく集まった秋組の稽古が忙しいらしく、でも絶対に面白いものになるからまた観劇に来て欲しいとお誘いを受けた。


「名前〜、お昼ご飯食べよ」

お昼休みになり、友人と机をくっつけてお弁当を開く。休み時間になったため、スマホの画面を明るくした途端に、私はぶっと吹き出すことになった。

『よお、一成から教えてもらった』

その一文の差出人のところには幼馴染の名前がフルネームで載っており、なんでだとか、まだご飯を口に入れる前で良かっただとかごちゃごちゃなことを考えながら、とりあえず友達追加の部分をタップする。

メッセージを既読にしてしまったし、はやく返信しなくては、とひとりあたふたしながらトーク画面に戻り文面を考える。

『突然でびっくりしたよ〜!あの後幸くんとは喧嘩したりしなかった?』

何回も文面を確認し、さりげなく疑問符をつけた内容に返信を促しているようで若干のいやらしさを感じたが、勇気を出して送信ボタンを押す。
送信後、まさかすぐ返信が来るとも思わず、私はメッセージアプリを閉じた。

「大丈夫?ご飯食べないの?」

「食べる食べる」

友人に怪しまれてしまったが、スマホは放課後まで放置することにして食事を進める。その放置したスマホに、私は放課後になって後悔する羽目になった。

『今日の放課後、何か予定あるか?』

だなんてそんな、せっかくつけた疑問符が無意味になるような内容のメッセージが来ているなんて誰も思わないだろう。
放課後に友人とくだらない話をして、ある程度の時間が経過した後にスマホを見た私は、それに慌てて何も予定がないことをメッセージにする。

「ごめん、急用!帰るね!」

特にどこに行けばいいかだとか、放課後に会うことになったわけでも、なにも明確ではないがとりあえず急がなきゃ、と自分の中で何かが急かしてきた。

小走りで人影が少なくなってきた校門に向かう。まさか、とは思っていたがそこには欧華高校の制服に身を包んだ幼馴染が、微妙に身元がバレないよう変装して校門に背を預けていた。

「ご、ごめん。さっきLIMEみた」

そう告げた私に、遅ぇよと文句をを言いながらも怒っている様子はない。
そのことに安堵し、ここまでわざわざ来るだなんて何かあったのではないかと話かける。

「こんなとこまでどうしたの?」

「別に、なんとなくだ」

彼の発言に驚くが、なんとなくで高校まで来てしまうところに笑ってしまう。昔方向音痴であった彼に、迷子にならなかった?と聞くと、顔を赤くしながら俺は子供か!と声を荒げた。

なんだか昔の関係に戻ったように感じて、嬉しさを噛み締めながら駅まで向かって歩き始める。

その途中、同じ花咲学園の制服を着た、ちょっぴり苦手な生徒と遭遇する。

「お、天馬じゃん。」

「万里さん、今日学校行ってたのか」

苦手な彼と天馬が知り合いであることに驚いていると、その横にいた私に気がついた万里は名前もいんのな、と私に声をかけてきた。

「名前とも知り合いなんだな」

「ん?あぁこいつ?俺のセフレ」

嘘を平気で、しかも真顔で言ってしまう万里を内心殴りたくなるが、我慢して変なこと言わないでと少し口調を強めて言う。

しかし、そんなアホの嘘を信じてしまうのが、この幼馴染なのだ。