不良生徒と



天馬から告白の様なものを受け、しばらくは彼からのLIMEを見ることができなかった。返事はまだいいと言われても、彼のことを好きだと自覚してしまってからは余計に、関わることに怯えてしまうのだ。

まさか自分がここまで小心者だとは思っていなかったが、万里といる時の周りの視線にも耐えられない私が、天馬とそんな関係になったらどうなってしまうのだろうと考える。

きっと思いつめた顔で机に肘をついていたのだろうが、数日経ったある日佐久間くんから

「名字さん最近元気なさそうだけど大丈夫?その、そんな時に悪いんだけどさ、もしスマホ使えるなら天馬くんに返信してあげて」

かなりキてるみたいだから、と付け足されて告げられる。確かに、あれからもう1週間近くは未読無視状態だなぁと頭の片隅で思った。
佐久間くんにそう言われても、私もどうすればいいのかわからないのだ。佐久間くんと天馬には悪いけど、私の精神安定上もう少しだけ待ってもらおうとトーク画面は気にしないようにする。

しかし、今の状態をずっと続けてはいけない事は分かっているのだ。だから私は、とりあえず信頼できる男友達に相談しようと思い、久しぶりに自分から万里に連絡をとった。




万里はすぐに返信をくれて、気分転換を含めてカラオケで待ち合わせをする。待ち合わせ場所に万里は何故か私服で来ており、また学校に行っていない事を悟る。
しかし今日はこちらが頼んで来てもらっているため、お小言はなしにしようと、特になにも言わずに2人で店の中に入った。

カラオケルームでは、いきなり相談してお葬式の様な空気になってしまうのも嫌だったため、交互に歌を歌ってワイワイ盛り上げる。

何曲か熱唱して ふぅ、とお互いひと息ついたところで万里から話を振ってくれる。

「で?あの後天馬になに言われたんよ?」

「あんたあの後隠れて見てたんでしょ?もう…茅ヶ崎さんからLIMEで写真だけ送られてきたときはどうしようかと思ったよ」

それに対して悪りぃ悪りぃと軽い謝罪をされるが、多分彼の見ていない、別れる前の話をする。

「…天馬からそう言われてさ、頭軽くパニックになっちゃって。まだ返事してないんだよね」

「だから最近あんな覇気ねぇのな、アイツ」

そんな様子を聞いて、なるべく早く返事をしようという思いが芽生えた。

「で、俺に相談って言うけどもう答え決まってんだろ?」

じゃあもう早く言っちまえよ、と彼らしい言葉をくれる。それに対して

「うん、がんばる」

と答え、また2人して何時間も歌い続けた。



「すっきりしたぁ。万里、今日は付き合ってくれてありがと」

そろそろ高校生いられなくなっちゃうから帰ろっか、と伝票を持って席を立った。