久々の感覚



何がきっかけで個性を発動してしまったのかはわからない。気がついたら私は自室のベッドで目を覚ましたところだったのだ。
あのぐるぐるとした独特な感覚を味わい、わかってはいたが携帯電話で時間を見て、今日が、終わりかけていた今日であることを確認する。

きっとすごい個性のみんなを見たから、それに影響されちゃったのかなぁ、なんて過ぎてしまったことを考えながら学校へ行く準備を始めた。

学校につくと案の定、前と同じような会話を繰り広げる教室内でそれに溶け込むように挨拶をする。
この生活を1週間も続けると思うと気が滅入るけど、今のうちにクラスメイトの個性を把握したり、置いていかれないように勉強をしようと思うことにした。

ポジティブに考えられる程この生活に慣れている私にとっては、何気ないけど少し苦しい1週間。だけど、それに巻き込まれた彼にとってのこの1週間は、地獄のような日々であることを考えていなかったのだ。


午前の必修授業を聞き流して、教室内を後ろの席から見渡す。いつもと変わらない風景。繰り返して2日目の今日も、昨日の今日と同じように時間が流れていた。しかし、午後のオールマイトから教わるヒーロー基礎学の時間、いつもと少し違うような違和感を覚える。

「おいデク、てめェ本当に個性出現したんか」

あれ、こんなこと言ってたっけなと思い、彼らのやり取りをぼんやり眺めた。
それにビクビクして言葉にならない言葉を発する緑谷くんに、爆豪くんは

「意味わかんねェ…昨日と同じ今日で俺に分があるはずなのになんで、なんで俺はてめェに勝てねェんだ…」

と言ったのだ。昨日と同じ今日?そんなの、私と同じじゃないか、と思い私ははっとした。今回個性を発動してしまった際、誰かの腕に触れていたことを思い出す。
そういえばあの時、呼び止めるために爆豪くんの腕を掴んだんだと思い、彼の行動を目で追った。

緑谷チームと爆豪チームの訓練が始まり、爆煙であまり見えなくなることが多々あるが毎回派手で緑谷くんがボロボロになる。
爆豪くんの強さに、今回は彼のチームが勝つのではないかと毎回ひやひやしながら見るが、やはり勝つのは緑谷チームであった。

授業後の講評時間や放課後の、爆豪くんの絶望したような顔。注意して見なければ気づかない変化に、3日目にしてようやく気がついたのだ。


今日も今日とて戦闘訓練。昨日感じた爆豪くんの変化を、今日は特に注意して見るようにした。午前の授業では特に変わった行動を起こした様子はないが、戦闘訓練の授業になると毎回違う行動をしていることに気がつく。

やはり彼も私の個性に巻き込まれて今日を繰り返していることを確信し、故意でないにしてもきちんと謝罪をしなければと彼の元へ向かう。

しかし今は授業中。オールマイトの号令で戦闘訓練が始まり、またも爆豪くんチームの敗北する瞬間を目の当たりにした。

毎日そそくさと帰ろうとする爆豪くんを見ていたけど、今日ばかりはあの、最初の日と同じように腕をつかむ。チッと舌打ちをしてギロッとこちらを見る爆豪くんに対して、話したいことがあることを伝える。彼は、今までと違う会話にばっと勢いよくこちらを振り返り、私をさらに吊り上がった目で睨みつけてきた。

放課後になって少し時間が経ち、人影のなくなった廊下で、私の個性について話をする。説明していくうちに、どんどん不機嫌になっていく彼は

「おいクソ没個性が、早く俺を元の時間に戻せや」

そんな、今にも私を丸々爆破させる勢いで手を上げて、早く戻せと言われても、そんなことができるなら最初からやっているということに気がついて欲しい。ごめんなさいと謝って、そうしてまた、今日を繰り返すのだ。